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komemai
誰かの親を卒業したい
20代後半からずっと、休みなく誰かの親であり続け、54歳。ついに解放される時が来た。親であることに変わりはないが、やっと自分自身を生きられる。しかし、約30年も体に染みついた親としての生き方はそう簡単には変えられない。色々衰え、頭も体も老いている。何より、常に自分以外を優先してきた生活から急に解き放たれても、心はすぐにそれを楽しめない。これは自分でも驚き。私、もっと自分の人生を謳歌できると思っていたわ。ごはんをつくる、洗濯する、畳む、しまう。些細なことの全部が自分だけのためでしかないと思うと寂しくて、やるせない。不覚にも泣いてしまった、嗚咽して。これからも子育てしてきた家で暮らし続けると思ったら、自分が地縛霊のように思えて嫌だった。思い出を食って生きるのか私は、と考えた。そんな老後は嫌だから慣れ親しんだ土地を離れることを決めた。犬と一緒にもう一度、自分自身を生きるのだ。