NoNoGirl's THE FINALのYURIちゃんの素晴らしさを語りたい。
どうしても語りたい。SNSはROM専の私がそう強く思ったのは、FINALでのYURIちゃんを見た多くの感想が、「お父さんのところで感動した」というものだったからだ。
「お父さん聞いてる?褒めてよ」
このフレーズはもちろん感動的である。しかしこの一文を書くだけなら、歌うだけなら、正直私はただのお涙頂戴かなと思っていたかもしれない。
しかし私が感じた感動は、この感動的な言葉頼りではない、考え抜かれた演出、スキル、センス。そういったスキルフルで彼女の魂がどっしりと存在した上で観ることが出来たからだ。
なのでどうしてもその節々を語りたい。語らせてください。
もちろんこれは個人の感想と解釈であるので、あしからず。
まず、構想と演出とリリック。その全体を通しての繋がり。
第一にリリック自体がめちゃくちゃ素晴らしい。最初に書いたように、YURIちゃんのソロパフォーマンスの感想の多くが「お父さん聞いてる?褒めてよで泣いた」というような、この部分にだけ触れている人が多かった。
否、BUT、だがしかし、私は寧ろこの一文よりもその前のリリックのセンスとスキルフルさに驚かされた。
「 神は綺麗な花から摘んでいって 腐った花ほど長く活かす
水をやっても波は止まって 呼吸を枯らして 」
まずもうこのリリックの美しさたるや。
パッと聞いて、見て、美しい。品もあり毒もある。敬愛と憂と怒りをこうも綺麗に綴れるものなのか。リリックのセンスはこれまでの審査でも目を引くものがあったが、今回は群を抜きん出ていた。
特にこのリリックが素晴らしいと思うのが、比喩と擬人化が違和感なく綺麗にセンスよく成立している点である。
ちゃんみなとの面談でお父さんを亡くした過去を知っている私達は、この「綺麗な花」が父親であることが想像できる。そしてさらにそこから深堀していくと「水をやっても」は「点滴をしても」、「波は止まって」は「心電図が停止した」と解釈できる。この美しいリリックの意味の深さ、そこにある彼女の想い。それをこんな綺麗な言葉で表現出来る。そのセンスに脱帽した。
そして更に全体を通しての構成が、この比喩と擬人化を我々の頭の中で成立させやすくしているのが
『YURI』ちゃんが、『百合の花』を冒頭の演出で使い、人から花への比喩が連想される。そこから『花』や『水』という言葉を使ったリリックへ移ることで、リリックに全く違和感がないし、なんというか、歌と演出、作品全体のまとまりが感じられた。
更には「摘んでいく」「呼吸を枯らして」という表現で、亡くなった父親の存在がスッと私達の頭の中に浮かんでくるのは冒頭の人から花への比喩がここでも効いているからではないか。この一連の比喩の繋がりによってパフォーマンスに終始、統一感があり、クオリティの高さが目立っていた。
次に、表情管理と声。
全体を通してこれまでのどのYURIちゃんよりも抜群に魅力的に、どんどんと飲み込まれるような魅力あふれるパフォーマンスであったのは誰もが感じたことだろう。ここにくるまでの彼女の努力が真摯に伝わった。また、練習時のインタビューで「ここはこういう表情で歌う」とノートに書いているとのことだったが、それが本当に作戦大成功というか、そういった感性というか、スキルの高さを感じた。
例えば「お父さん聞いてる?褒めてよ」の部分で
「お父さん」で少し口角を上げて点を見上げた直後に「褒めてよ」で下を向いて悲痛な顔。そしてこの後マイクを離す場面までの表情が本当に素晴らしくて、彼女の苦しい感情が痛いほど伝わってきた。
また、表情だけでなく声の変化で素晴らしいと思ったのが
「腐った花ほど長く活かす」の部分。
ここで声を強くするのが、個人的には鳥肌が立つほど素晴らしかった。
この世には悪い人間や死んだほうがいい人間が山程いるのに、なぜ善人であった父が死ななければならないのか、という神への怒りのようなものを感じた。
ちゃんみなが言っていた「YURIの反骨心とか、抱えているものをもっと見たい」に対してこれ以上ないアンサーではないだろうか。
正直ノノガは今までエンタメの1つとして見ていたし、特定の推しがいるわけではなかったのだが、ここへきてまさかこんなにも熱い気持ちになるとは思わなんだ。YURIちゃん、推します。
素晴らしい実力とセンスを証明してくれた、
まさに「人生をかけた作品」に相応しいパフォーマンスであった。
おわり。