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「酒をやめられない文学研究者とタバコをやめられない精神科医本気で語り明かした依存症の話」(ながっ!)読了。

自身もアルコール依存で、自助会を運営しているのマコトと、ニコチン依存の精神科医トシの交換書簡。

まずアルコールや薬物依存は、快楽を味わうために手を出すのではなく、目の前のつらい現実から、脳を麻痺させて逃れるために手を出すと言う見解にハッとさせられた。

その為、そうやって酒や薬物で何とか死を先延ばししている人達から、「ダメ!絶対!」と正義感のみで酒や薬を取り上げてしまうと、逃避手段を失くしてしまい、結果自死してしまう人がかなりいることにもショックを受けた。

あと依存症外来では毎回尿検査をするらしいけれど、そこで陽性反応があれば警察に連絡義務があるのは知らなかった。(どうしてるんだろうとは思っていた)それによって治療から遠ざかり、最悪の結果を選んでしまう人達も沢山いると言う事実。

患者がまた薬物に手を出してしまった。どうしてそうしてしまったのか。その理由をしっかり聞いて、安心して患者が自己開示できる治療現場であるべきと言う意見には賛成。薬物依存に苦しんで、受診した結果逮捕と言うのは酷だなとは思う。でも違法だし、正直難しい問題だ。

目の前の現実がつらすぎて「快感を得ながら死に向かえるなんて最高だと思った」とか「人間やめたくて手を出した」と言う薬物依存患者が薬物に手を出したきっかけにも胸が痛んだ。

トー横キッズの様な若い子は、違法薬物ではなく、市販薬のオーバードーズ依存が増えている。人間にとって「HALT」の状況が依存症になりやすいとの事。
H=hungry
A=angry
L=lonely
T=tired

要は貧困で空腹で、世の中の理不尽さに怒りを感じ、孤独で、疲れている。この心の隙間と薬物アルコールは親和性が高い。中で特に孤独が危ない。そこで自助会で孤独を埋めていく事が、回復への近道と言うことになるらしい。
やはり人間に一人では生きていけない。誰かと繋がる事は本当に重要なのだ。

酒や薬物依存患者に対して「ダメ!絶対!」とただ止めさせるのではなく、依存症へと走らせている環境を、少しでも改善させていく事の方が、まずやるべき大切な事だと思った。

あと日本はアルコールに寛容すぎる。24時間365日、どこでも簡単に手に入ってしまう。もう少し規制はできないものか。ぜひ国には議論を深めてほしい。

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