
ルシア·ベルリン「楽園の夕べ」読んだ
ルシア·ベルリン「楽園の夕べ」読了。
ルシア·ベルリンは「掃除婦のための手引き書」を読んで、私にとって二冊目の短編集。
今回も良かった。
特に「桜の花咲く頃」と「リード通り、アルバカーキ」がお気に入り。
どの話も、女の人生の一瞬を見事に切り取っている。
物売りの少女だったり、モラハラ夫と結婚した女子大生だったり、判で押したような毎日に耐えられない主婦だったり····
過酷な運命の渦中の女性が、一線を越えた瞬間や、ギリギリの処での踏ん張りを描いているのだけど、最後は絶対に希望があるのがとても良い。
良くも悪くも人生が転換する一瞬を、鮮やかにとらえている。
人生が転換する瞬間って、決してドラマチックとは限らず、普段通りの日常の中に突如として訪れるんだなぁと思った。
あとルシア·ベルリンの作品は、何か抽象的で詩を読んでいる様な気分になる。
登場人物の相関関係が分からなくなったり、アメリカンジョークが良く分からず、迷子になった様な気分になる時がある。
でも気にせずつらつら読んでいくと、必ずラストには、迷子の自分を見つけてもらった様な安心感と煌めきがある。
あと、どんな困難な時も、あまり深く考え込まずに、時々ジョークを言いながら軽やかに生きようと、前向きに思える作品たち。
唯一無二の、何だか不思議な読後感を味わえるので、おすすめ。