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Washington Post vs 日本の大新聞

新聞の衰退が叫ばれて、もうどのくらいだろう?
デジタルが出てきてからだから、20年位にはなるだろうか。
最新の広告費の統計だと、新聞はメディア全体の5%もない。勿論、これがそのまま媒体としての新聞の価値を表すものではないだろうが。



それにしても、今どんな人がどんな感じで新聞を読んでいるんだろう?
今の若い人には信じられないだろうが、昭和~平成初期までは、満員の通勤電車でサラリーマンは新聞を器用に折りたたみながら読んでいた!

今は(僕もそうだけど)60歳を超えた位の人が、朝じっくり居間で広げてコーヒーでも飲みながら読んだりするのかな?
これはこれで楽しい、紙面広げて世の中を俯瞰。読売の「人生案内」も面白い。でも多くの人は、ネットで自分の業界関連のニュースや興味ある情報をチェックする位だろう。

先日、近くの読売新聞の販売店から”泣き”が入っていた。もう配達のコストが見合わない。値上げはしないから、今朝刊だけの人は是非とも夕刊もセットで購読下さいと。大変だ・・・そのうち新聞が朝玄関先に届いているというのは過去の夢物語になるだろう。

オンライン新聞


仕事の関係で、Washington Post(WP)をデジタルで購読している。
読売新聞とほぼ創刊が同じ(1877年)のこの新聞、購読者は300万人ほど(大半がオンライン)、読売新聞の購読者は600万。

新聞の衰退はアメリカも同様。WPも購読者を減らし続け、会社は潰れる寸前だった。そして2013年にあのジェフペゾスに買収され、デジタルに大きくかじを切りなおした。さて、このWPのデジタル版だが、これがなかなか良くできていて、しかも安い(月1000円ほど)。読売の購読料は月3400円(朝刊のみ)

WP On-line vs 読売オンライン

読売新聞も購読するともれなくオンラインでも読める。
しかしこの2つのオンライン新聞は似て非なるもののような気がする。別に読売新聞が特に悪い訳ではない。日本の新聞のオンラインどこも同じ。

何でこんなに”違う”と感じるのだろうか。まず、WPのオンラインはこれが最初から人々の「情報プラットフォーム」として制作されているのに対して読売の方は紙媒体で作ったものを毎日オンラインに上げているだけ、という根本的な違いがあるのではないか?

WPはこまやかな工夫や気遣いで使いやすく

フォント、レイアウト、タブ、ビジュアルを工夫して、とにかく読みやすい。これはPCのような大きなスクリーンの時もそうだし、スマホでもそう。
因みに、読売のオンラインの中には紙面ビューワーというのがあって、紙面の画像が載っている、これを拡大して見る人なんているのかなぁ。

*記事はテーマごとに整理されて、少し前の記事も簡単に読める。勿論過去のアーカイブも簡単に検索できる。多くが署名記事なのもいい。

*ところどころに、動画を入れ込んである。また動画配信で数か月に一度いろいろなテーマで、動画講演会をやっている。これも無料。

*記事の多くは、🎧マークがついていて、それを押すと音声で読み上げてくれる。忙しい時、障害のある人、英語を勉強したい人に便利。

*多くの記事、特に話題になっているテーマの記事には、簡単に意見投稿ができる。かつその投稿に他の人も反応して、”論戦”ができる。
例えば、昨今の中国に関する記事などでは、読者間の激しい論戦が見られ、もしかしたら、”プロ”も参戦しているのではと思わせる。

*WP自体は知っての通り、リベラル系の新聞でそれに沿った論調(社説)になる。しかし時折、それに対してOp-Edという対抗する論説が載せられる。因みに、日本の大新聞の社説って、昔ながらのスタイルで少し上から目線で大仰じゃないだろうか?

*最近、AIツールも登場。例えば、「あなたが気候変動について判らないこと、WPのAIに質問してみて」のプロンプトがでてきたりする「。

マイWP。自分がどの記事を読んだか記録されていて、それにそっておすすめの記事が提示される(少しアマゾンぽい)。

新聞を超えた情報プラットフォーム

要はオンライン主体のWPは新聞の枠を超えて、人々の「情報プラットフォーム」。文字・音声・ビジュアルを駆使して、読者を巻き込んでいる。
NYTやWSなど他のアメリカの主要紙もそうなんだろう。しかも、安価な価格設定で世界中に読者を広げ、”Washington Post”というブランドが作り上げられている。

日本の大新聞の将来?


勿論ワシントンポストも瑕疵なしとは言えない。
しかし、大きな投資をしてデジタル時代の読者に対応する変革をしたことは、すごい。
読者がどのように情報に接しているのか、どう感じているのか、常に分析しているらしい。いわゆる、ユーザーエクスペリエンス。ただ正しい情報を流すだけではない。

一方、日本の大新聞は”茹でカエル”状態。
だんだんと、でも確実に読者が減っていく。
ほそぼそ残る企業広告・協賛広告・週刊誌の広告(これを新聞が載せるのもかなり変だとは思うが)、プロ野球や遊園地その他の事業収入で存続?

「やはり紙で読むことが大切」とか嘆いているだけなの?
メディアとしてどういうビジョンがあるんだろう?
しばしば主張する構造的・戦略的な改革はできないの?
一新聞サポーターとしての思い。





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