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自社の株価を把握していますか?

【Level55】
こんにちは、経営理念と経営計画で中小企業をサポートする税理士の菅谷(すがや)です。

最近よく耳にする悩みの一つが、「会社の株価が上がりすぎてしまい、後継者に株を贈与したいが税金が多額になってしまう」というものです。
会社の株価が上昇することは、業績が順調に伸びている証拠であり喜ばしいことですが、その裏には目に見えない問題が潜んでいることもあります。

数年前から顧問契約を結んでいるクライアントの中で、地道に業績を上げてきた素晴らしい会社があります。
後継者の息子さんも働いており、将来的には社長として会社を引き継ぐ予定です。しかし、ここで問題となったのは「株価対策を全くしていなかった」という点です。

以前の税理士から特別なアドバイスを受けることなく、事の重大さに気づいていなかったため、予期しない事態が発生しました。具体的に何が問題だったのでしょうか?
それは、株価が上がりすぎてしまい、一株を贈与するだけでも税金がかかってしまうということです。

もしこのまま放置しておくと、万が一社長が亡くなった際に、株式に対する相続税が非常に高額になり、後継者が株式を受け継いでも会社の換金価値がないため、相続税を支払えないという問題が生じる可能性があります。この問題はそれだけにとどまりません。
こうしたリスクを回避するためには、計画的に事業承継を進めていくことが重要です。

事業承継においては、相続税や贈与税の負担が大きくなる場合、特例事業承継税制という制度を活用することで、税金の支払いを猶予することができます。特に、企業の資産や利益が大きく、相続税や贈与税が高額になる場合、この税制の特例を活用することで、税負担を大きく軽減できる可能性があります。

では、どのように株式を後継者に贈与するかは、会社の状況や後継者の立場によりさまざまです。多くの専門家が部分的な株価引き上げ対策を提案することがありますが、これが必ずしも悪いわけではありません。
しかし、会社全体の状況を把握して部分的な最適化ではなく、全体的に最適化を図ることが大切です。これは税理士としての重要な役割でもあります。

会社の将来を見据えた計画的な事業承継を進めるために、今のうちから税金対策をしっかりと考えることが、後々大きなリスクを避けるために非常に重要です。

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