戦車豆知識「戦車の数え方」
戦車のことを知っているようで知らない、知ってる気になって実は基本的ななのに知らない、誤解している、イメージで語っているという自称戦車専門家、戦車研究家、戦車好きのマニア・オタクがとても多いです。
戦車を扱う現場の声はなかなか一般の人には知られることも無く、私のような元戦車乗りが使う戦車の言葉・用語があまりにも一般のそういう方達とは違うため「お前そんなことも知らんのか」と罵倒されることがあるのです。
ただ、民間の一般人が戦車の言葉や用語を知らないのはしょうがなく、それでも興味や関心があってプラモデルの解説書、一般のミリタリー雑誌、書籍等、戦車に乗ったことも無い人が造語したり想像で書いた言葉が流通して「民間軍事用語」と自衛隊用語と完全に同じ物を指しても別の言語を使うようになってしまっている。
それはプロが使う言葉を知らなかったことと、SNSで発信してもマニア・オタクは自分の知識こそ正しく一番で、それを否定する知識は全力で否定し「間違っている」と罵倒、誹謗中傷し我こそが正しいと主張するため普及しないのだ。
それはミリタリー雑誌、戦車専門誌も同じで決して自衛隊用語を認めないのも原因であると思う。
つまり「現場の声」を聴かず、取材せず、写真だけ撮って取材した気になっているのも原因だと思う。
戦車乗員と話をしても言語から違うので会話が成立しないのだ。
私なんて現場の言葉や用語で書いたら、民間軍事用語に直されて軍事専門誌の編集者と揉めたことがある。
つまりプロの戦車用語普及を阻止する者がいるのである。
前置きが長くなったね。
なので簡単な戦車用語を紹介して、戦車の豆知識として戦車用語を少しでも普及したいと思う。
第一回の今回は基本中の基本である戦車の数え方である。
「戦車の数え方」
日本語の助数詞はバラエティに富んでおり、一説には約500種類もの数が存在するが、今日一般に使用されるものはそれよりずっと少なく、「個」、「匹」(動物)、「本」(細長いもの)、「枚」(平たいもの)等の多数の語に充てられる助数詞を使う事が多いそうだ。
これって外国語では珍しいらしいね。
りんごは「1個」、にんじんは「1本」とものを数えることを助数詞といいます。
英語やドイツ語にはないそうで、中国、韓国、タイ国にはあるそうです。
うさぎは一匹じゃなく「一羽」ですね。
動物も大きさで、馬とか像とか牛とかは「一頭」ですし、猫や鼠は一匹ですね。
しかし・・・、軍隊的に馬は騎兵の「一騎」と数える。
さて、助動詞の解説をしましたがいよいよ本題です。
みなさんは戦車の数をどう数えますか?
一台二台と数える?
間違いとは言わないけれど、自衛隊では戦車は車輛なので「台」ではなく「輌」が正解です。
1輌、2輌ですね。
戦車を知らない人や戦車を数えることを知らない人が書いたものには「一台(いっぽん)」とか「一両」と書いてあるものもありますが文献が必ずしも正解とは限りませんね。
まぁ世の中には現場で使っている単位や助数詞とは違うことがままあるので、うさぎを一匹とか一頭とか言っても「一羽」なんて言ってる方が間違いって言われることもあるからね。
もう少し説明すると戦車4輌で小隊なので戦車一個小隊と数えたりします。
中隊は戦車連隊と戦車大隊、戦車隊でそれぞれ編成が違うので戦車の数も違います。
上の画像は特科の203mm自走榴弾砲と90式戦車ですが、戦車は「輌」ですが、自走砲の数え方は判りますか?
ここ大事、「輌」でも「台」でも無い。
「門」が正解。
火砲、大砲は「1門」と数える。
自走砲も車輛だろう?と思うかも知れないが「大砲が自走できる」というだけで大砲の「門」を使う。
じゃ戦車だって戦車砲という大砲があるのだから「門」って数えてもいいんじゃない?と思うだろうが・・・戦車は「輌」なんだよね。
昔、特科の陸曹が「戦車の中隊って何門あるの?」と聴かれたことがあった。
「砲の数」で聞かれたことがなかったので「✕〇輌です」と答えたら「えーーーっ!!そんなにあるの!?」と驚いていた。
特科部隊なら1個大隊規模だからね。
今じゃ戦車も数が減り、編成もその頃と大分変った時代の話です。
戦車の数え方でした。