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戦車用語は辞書には載っていない

戦車用語、戦車乗りが使う戦車の言葉とかは辞書には載っていない。
Wikipediaでも「同軸機銃」なんて解説しているし「自衛隊では連装機銃という」なんて間違った注釈まで付く始末。
「連装機銃」は旧海軍の対空機関砲で、自衛隊戦車の車載機関銃は「連装銃」である。
「機銃」は海軍用語だ。

戦車に乗ったことも無い素人が戦車の解説を我が物顔で解説しているのが丸判りである。
戦車の言葉をミリタリー誌や軍事専門誌に書くと編集者に民間軍事用語に直されてしまうのだから普及しなかったし、SNSが発達し戦車乗りが発信しても「戦車に乗っていて同軸機銃も知らんのか」と逆に批難されたのでは普及どころか「連装銃」と言ってる方が間違っているような感すらある。

しかし現実に戦車を使っている現場に「同軸機銃」+「主砲」なんて言葉はなく「車載機関銃」「車載」「連装銃」「連装」であり「戦車砲」なのである。

戦車用語が国語的におかしいと言う編集者もいるが、「現場でそう言ってるからしょうがない」と言っても聴く耳がないから、普及しようにも止められてしまうことも多い。

現場の声や生の戦車乗りま意見や証言なんて伝わる訳もなく、戦車の素人の意見や声が強いのが実情なのだ。

戦車戦の基本で稜線視察、稜線射撃がある。
これを解説する時、「車体遮蔽」「砲塔遮蔽」という戦車用語がある。
基本的過ぎる言葉だが、これ戦車好きでも知らないし意味が通じなかったりする。

車体遮蔽を「ハルダウン」と民間で呼ばれている。
元は、帆船や海戦の用語で、マスト上部の物見台やレーダーだけを水平線から出して偵察する技術であった。
20世紀の機甲戦の発展で、陸戦でもこの用語が使われることとなった。

砲塔遮蔽は砲塔を隠し潜望鏡だけを出す状態をターレットダウンと民間ではいう。

地面に穴を掘り、天然の稜線がない場所において戦車をハルダウンさせることをダグインという。

いわば戦車用タコツボである「戦車掩体」に砲塔まで隠すのが砲塔遮蔽。

車長だけ見える位置で敵から戦車は全く見えないようにする。

稜線視察ではよくやるのが砲塔遮蔽。

稜線射撃する時は「砲手誘導ゆっくり前へ」で砲手が敵を確認し撃てる位置まで出て射撃する。

この時は車体遮蔽になっているが射撃後素早く後退し砲塔遮蔽の位置へ行く。

こうすれば敵はいきなり射撃され反撃するに戦車の姿は見えず、発見されていたとしても戦車は掩体か地形に守られている。

こういう話も現場を経験した者が語っても言葉が通じず理解されなければ伝わらないし、伝えられない。

それを阻害しているのは実は戦車ファンであり戦車マニア・オタクだったりする。
それと戦車を知らない素人ライターや、ミリタリー雑誌編集者が元凶だ。
一般誌の編集者はその辺拘りなく任せて戦車用語を使わせてくれるのだが・・・。

でも一般誌で一度校正で内容をかなり変えられて一般誌の編集者がこんなことは初めてだと驚いていた。
記事の内容は自衛隊、自衛官の言葉は一歩営門を出ると通訳が居て内容も言葉も同じ日本語なのに直されて正確には伝わらないというものだった。

一般誌の担当編集者は「正に記事の内容通りで校正の人はミリタリー専門の編集をしている人がやっていて、記事が事実なのがこれで立証されました。本当にあるんですね・・・校正が内容まで変えるなんてあり得ませんよ」と憤慨していた。

それほど自衛隊の言葉や用語が民間に伝えるには大きな壁やハードルが高いのである。
SNSに書くと決まって自称軍事専門家がいろいろ絡んでくるのはいつものことだし・・・。

こういことがあって民間や戦車好きの方達に戦車乗りの言葉が普及しないことを知って欲しい。
そしてそれを阻害している人達をよく見て欲しい、おそらく自分の知っている知識が素人なのが暴露されちゃうのを恐れているんだろうと推察される。

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