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長襦袢について和裁士が本気出して考えてみた①リネン長襦袢きっかけ編

着物のフリーサイズって、誰基準?
生地と色って、誰目線で決めてるの?
後回しにされがちだけど、着物の着姿の要って長襦袢だと思うんです。身丈と裄がⅯサイズだからって、身幅もⅯサイズだとは限らない(私はⅬだ)。着る物の種類や好みによって、サイズを変えたい部分もある。

既製品とフルオーダーのど真ん中、作る人と着る人の『ちょうどいい』をとことん追求してみました。

テーマごとに何回かに分けて書こうと思っています。
まずは、長襦袢って何でしょう?というところから。

①着物を汗などの汚れから守る為に、肌に直接触れないようにする下着
→洗える生地がよいですね。正絹の肌触りも好きだけど、気軽に自宅でお手入れ出来る生地の方が衛生的。肌に直接触れるからこそ、肌触りの心地良さも大事! 

②保温・防寒の為
→最近の日本は、半年は夏だと思う。1度だけポリを着た事あるけど、汗をダラダラかきすぎてもう二度と着たくないと思いました。今の日本で快適に過ごすには、通気性や汗の速乾性を重視したいですね。

③袖口と振りからチラリと色を見せる
→推しの色ならテンション上がります。よくあるあの薄いピンク、誰の好みなんでしょうね。好きな色なら、視界に入る度に「いい色だわぁ」とニマニマしちゃいます。

長襦袢について本気出して考え始めたきっかけは、正絹長襦袢の企画を出した時です。

それまでは、実は私自身も長襦袢について深く考えた事がありませんでした。和裁の専門学校時代に好きな色柄の正絹の反物を購入して、練習がてらマイサイズでお仕立てした物をずっと着ていたのです。最初から自分に合ったサイズの長襦袢を着ていたから、サイズの合わない物を着る不便さを知らなかった。正絹が当たり前の世界にいたから、洗える事の重要性が分からなかった。

着る人と作る人と売る人の間の溝って、こういう事なのかもしれない。

リサイクル着物の販売をしている内に、サイズの合ってない長襦袢を着ている人の多さに気付きました。そういう方は大体着崩れに悩んでいる。
既製品の長襦袢のSⅯⅬを見比べて、サイズの振り幅の狭さに「このサイズ設定、意味ある? 現代人の体格知った上で作ってるの?」と愕然としました。

白とピンクを着ている人があまりにも多いから、世の中の女性は白とピンクが大好きなんだと勘違いしてました。それしかないからだったのね。

『あなた好みの色に染めた正絹生地でマイサイズの長襦袢を作ろう』企画の時に、思い切って今までにない色ばかりをセレクトしてみました。応募してくれた方たちは大興奮! 色を決めるのに2時間悩んだ方もいます。そして、仕立て上がった長襦袢を着てニマニマ。色にうっとり。着やすさに感動。

「長襦袢って、こんなに着る人を笑顔にするんだ」

そう気付かせてくれた皆様には、本当に感謝しています。
暑い日の続く現代では正絹の長襦袢を着れるのはほんの数ヶ月ですが、この企画で作った長襦袢は大のお気に入りです。着る度に「いい色だなぁ。肌触りも最高」と顔がほころびます。

そして最近の物価高により、生地の値段はぐんぐんアップ。正絹生地の見直しをする事にしました。年中通して、少しでも快適に過ごせる生地。豊富なカラー展開。お手頃なお値段。

そうして導き出したのが、麻100%のフレンチリネン。着物に多く使用されるラミー(苧麻)は涼しいのですが、ちくちくして少し痛かったり。麻の中でもよりお肌に優しいリネン(亜麻)を選びました。さらりとした肌触りがとても心地よいです。着物は何枚も着重ねるので、内側に熱がこもりがちです。吸汗速乾性に優れた接触冷感の素材だから、着た瞬間ひやりと気持ち良い。暑がりさんやお肌の弱い方こそ試してほしい心地良さです。

和裁士が本気出して考えた長襦袢を、現在マクアケにて先行販売中です。
・身丈、身幅、裄をSS~ⅬⅬでそれぞれカスタマイズ出来る、セミオーダー制
・全10色の中から推しの色を選べる
・肌に優しく、自宅で洗濯出来るリネン素材

次回はサイズについて!
斬新すぎるセミオーダー制について説明します。

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