最後の晩餐

何年も前の話
最後の晩餐はオムライスだった

私が家を出ることは決定済みで
諸事情によりきっともう二度と
私と家族の人生が交わることは
無いのだと信じて疑わなかった

日常生活は変わらず続いて
夜仕事を終えて家に戻って
当時から食事時間はみんな
ばらばらで取っていたから
ダイニングでひとり食べた

最後の晩餐はオムライスだった

このメニューに何か意味があるんだろうか
食べながらそんなことを考えていたけれど
特別私の大好物だというわけでもなければ
母の得意料理というわけでもなかったはず

ただ
最後の晩餐はオムライスだった

諸事情によりどうしようもなく
戻ってきてしまったこの家から
出ていく日が必ずや来るけれど
もしかしてそのときも理由なく

最後の晩餐はオムライスなのかしら