冬の金曜日

心がざわざわして苦しくて
何をしてみても枯れそうで

辛うじて続けられているのは
高めのコスメとイヤーカフ
セールで買った新しい服と
まだ古びてはいない下着と
次々アイテムを追加しながら
ばらばらに崩れてしまわない
ように毎日を繋ぎとめている

電車に乗って少ししたら
何が理由か分からぬまま
急に自分が潤ったように
言葉があふれ出してきて
次々とこぼさないように
ノートに書きとめていた

天気は曇りかもとの予報だったが
次第に日差しが温かくなってきて
幸先がいい 特に今日には嬉しい
たぶん長く歩くことになりそうで
あえて厚着にもしなかったけれど
それくらいでちょうど良い気温の
思いのほか晴れた日になりそうだ

気づけば目まで潤み始めていて
目一杯したつもりのアイメイク
にじんだかもと思ったりもして

たぶん今日わたしはわたしに
必要なものをきちんと与えて
足りていなかった成分を何か
十分に補給できたんだと思う

この満ち足りた心が永遠でなくても
この潤いがこの瞬間限りだとしても
わたしはわたしが必要とするものを
きちんと今与えられたことが嬉しい

柔らかな心がすぐ硬直するとしても
穏やかな時間が軋む歪みに戻っても
わたしはわたしに必要とするものを
与えられると知っているのが嬉しい