JKにはなれない

保育園や幼稚園には行かなかったから
小学校に上がった途端困ってしまった
ノリも方言も全く分からなかったのだ
その後小学校中学校と何とか通ったが
普通の高校には進まずしかも中退して
いわゆるJKライフを謳歌もできずに
いろいろな壁や困りごとに会った末に
社会不適合者のような今に至るわけだ

街中にいきなり学生が溢れかえる日がある
テストやら行事の関係やらのタイミングで
一斉に見かけることになるのだがどうにも
自分が経験していないからか彼ら彼女らの
テンションが理解できずに戸惑ってしまう
大荷物を音を立てて床に直置きすることも
周囲の静けさに気後れせず盛り上がるのも
屈託ない行動のひとつひとつに戸惑うのだ

あるとき友人が言っていたことがある
人生苦労しない人はずっと苦労しない
ハードモードの人はずっとそのままだ
苦労などしないほうが間違いなくいい
でも気づいたときにはもう大人だろう
すでにレールには乗っかっちゃってる
自分たちは人生ハードモードの人だと

わたしにとってハードモードなことは
いろいろ思いつくけれどこういうとき
身に染みて感じるのがテンションの差
わたしが経験してこなかった高校生の
独特のノリや振舞いや季節のリズムだ

いまさら取り戻すこともできないけれど
もし普通のJKになったとしてわたしは
本当に普通を謳歌していたのかも怪しい
そもそもの時点でわたしはついていけず
大人しく笑って全てをやり過ごしていく
つまらない高校生活を送ったのだろうと

やっぱりJKにはなれない
いまさらって意味じゃなく
当時そうなろうとしたとて
JKにはなれなかったかな

だからうらやましかったりもするし
たまにうっとおしかったりもするし
毎日何がそんなに面白いのか不思議
だけれど彼女たちの毎日はおそらく
想像できないくらい輝いているのだ

やっぱりJKにはなれない