![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/161540559/rectangle_large_type_2_541301653b5dd00e695b7b6d7e7d330c.jpeg?width=1200)
古事記考察・まとめ
独自解釈・古事記考察の内容をまとめてみた。
三国の誕生
大倭の成立
日向が大和の協力を得て、大倭の血筋を作る。
互いの妹を娶り合い、その子たちが婚姻し、四代天皇で大倭の血筋が誕生した。
日向の目的は、【オキ】と【十市】の治安をよくすること。(【オキ】と【十市】は仮の地名。)そのために、大和の力が必要だったのだ。
【オキ】と【十市】
五代天皇はオキツヨソの妹を娶り、子を得る。六代天皇と天押帯日子命だ。
オキツヨソの国を仮に【オキ】とよぶ。
天押帯日子命は、【オキ】で子孫を増やしていく。
六代天皇は天押帯日子命の娘を娶り、子の七代天皇は次の目的地【十市】へ行き、細比売命を娶る。
細比売命の父は「十市県主」なので、この地を仮に【十市】とよぶ。
ところが、細比売命は子を一人生んだところで亡くなってしまう。子は八代天皇になるが、このままでは【十市】で子孫を増やすことはできない。
困った七代天皇は、大倭国阿禮比売命を【十市】に連れていき、子孫を増やすことにした。生まれたのが、ヤマトトモモソビメ命や大吉備津日子命だ。
【十市】は生活環境が整っておらず、七代天皇はまず天押帯日子命の力を借りて国作りを始める。
しかし、そこへやってきた内色許男命と戦いが始まってしまう。
内色許男命との交渉
十拳剣を持った大吉備津日子の活躍で、戦いは交渉にたどり着く。
八代天皇は内色許男命と交渉し、【十市】を共同で治めることにした。
八代天皇と内色許男命の血筋を合わせて、十代天皇が生まれた。
ふたつの約束
【十市】の戦いを終わらせた八代天皇と内色許男命は、共同で国を作る約束をした。
しかし、七代天皇と天押帯日子命のあいだには、国作りに協力する代わりに【十市】に国を作る際には天押帯日子命の娘の子が国を治めるという約束が交わされていた。
このふたつの約束を成立させるために、【十市】にはふたつの国ができた。ひとつは内色許男命の娘を母とする大毘古命が治め、ひとつはアマテラス国の女性を母とする日子坐王が治める国だ。
三貴子の誕生
こうして【オキ】と【十市】には、三つの国、アマテラス国・ツクヨミ国・スサノオ国ができた。
アマテラス国=【オキ】の国。天押帯日子命を祖とする『アメ』一族が治める。
ツクヨミ国=【十市】の半分。八代天皇と内色許男命の協議でできた国。大毘古命が治める。
スサノオ国=【十市】の半分。日子坐王を祖とする国。
アマテラス国とスサノオ国の出来事について詳しく書かれたのが古事記の神話、ツクヨミ国の成立をまとめたのが初代・神武天皇の記録である。
天の岩戸事件
サホビメの死
六代天皇は、アマテラス国の天押帯日子命の娘を娶り、子は七代天皇となった。
十代天皇は、ツクヨミ国の大毘古命の娘を娶り、子は十一代天皇になった。
十一代天皇は、スサノオ国の日子坐王の娘を娶った。
しかし、日子坐王の娘・サホビメは子を一人生んだところで亡くなってしまい、子のホムツワケ命はスサノオ国を治めることができなかった。
スサノオ国を治める役割は、日子坐王の子・山代大筒木真若王に受け継がれた。
あとは、山代大筒木真若王の曾孫・息長帯日売命を天皇が娶り、その子が天皇となれば、アマテラス国、ツクヨミ国、スサノオ国の三国を治める天皇となる。
山代大筒木真若王は、息長帯日売命を三輪山に祀り、大事に育てた。
天の岩戸事件
ところが、息長帯日売命がようやく月経を迎える歳になったとき、事件が起こった。
息長帯日売命が、相手を間違えて妊娠してしまったのだ。
息長帯日売命は、自分の過ちを知り、出産直前に自死してしまう。
ヤマトタケルは、息長帯日売命のお腹の子だけでも助けようとした。
幸い、子の命は助かったが、ヤマトタケルは天皇になることはなかった。
神話で何度も折れる十拳剣は、息長帯日売命の死によって途切れた日子坐王の血筋を表している。だが、この折れた十拳剣から、三人の女神が誕生する。
スサノオ国に戻った妊婦
息長帯日売命のお腹の中にいた息長田別王は、アマテラス国で育てられた。
息長田別王の子・杙俣長日子王には三人の娘が生まれた。
いなくなった息長帯日売命を返せと要求するスサノオ国に対応するために、十五代天皇は、杙俣長日子王の三人の娘のひとり、息長真若中比売を娶った。
息長真若中比売は妊娠してスサノオ国に戻り、息長帯日売命に代わり出産した。生まれたのが若沼毛二俣王だ。
若沼毛二俣王は叔母とともにスサノオ国で育ち、叔母を娶った。
若沼毛二俣王の娘は雄略天皇の母となり、若沼毛二俣王の玄孫は継体天皇となる。
ツクヨミ国へ行った妊婦
一方で、ツクヨミ国に行ったのが、ヤマトタケルの子・十四代天皇の子を妊娠した神功皇后だ。
ツクヨミ国では、息長帯日売命の子と葛城曾都比古の娘の婚姻が計画されていたため、若沼毛二俣王の誕生を待つことはできなかった。
そこで、息長帯日売命の死を隠し、神功皇后に代わりを務めさせることにしたのだ。
天の岩戸で、岩戸に隠れたアマテラスは、本来の息長帯日売命であるミヤズヒメ、岩戸から出てきたアマテラスは、代理の息長帯日売命である神功皇后。天の岩戸は、ふたりのアマテラスの入れ替わりトリックだったのだ。
神功皇后の子・十五代天皇は葛城曾都比古の娘を娶り、その子、十六代・仁徳天皇の血筋が二十五代・武烈天皇まで続いていく。
その後
ここまでの流れをふまえて天皇の血筋を追ってみる。
雄略天皇
十六代・仁徳天皇の子・十九代天皇は、若沼毛二俣王の娘を娶っている。子は二十代・安康天皇、二十一代・雄略天皇となった。
天皇がスサノオ国の女性を娶って生まれた雄略天皇は、三国を統治する血筋を持った天皇だ。
この血筋が続けばよかったのだが、途切れてしまう。
欽明天皇
雄略天皇の血筋が途切れた後、三国を統治する血筋として選ばれたのが、若沼毛二俣王の男系の血を引く継体天皇だ。
若沼毛二俣王は、十五代天皇と息長真若中比売の子であり、三国を統治する血筋を備えている。
その男系子孫である継体天皇が手白香皇女を娶ることで、葛城曾都比古の血も含めた天皇が誕生した。
それが欽明天皇である。
古事記は、欽明天皇の子たちが天皇となったことを記述して幕を閉じる。