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可愛くなりたくてダサくなった

風が秋だった。

朝起きたら窓が空いていて、
心地いい風が吹いていた。

母が開けてくれた窓
横には洗った枕カバー

この前買った安いリップを塗って
オレンジのアイシャドウをベタ塗りした。
アイラインは少しはね上げた。

毎日、大人になりたくないと豪語して
子どもなままで許されていたいと泣き喚いている。
大人になって何になれるの?
子どものままで何になる?
青いワンピースを着て夢中で駆け回りたいと
思っていた夏はもう終わる。
浴衣を着て彼と手を繋ぎながら歩いていたい
と願った夏はもう過ぎた。

可愛くなりたくて買ったあの服は
私には着こなせなくて
クローゼットの奥に
自分が自分を可愛いと思いたい。
自分で自分を可愛くしたい。
誰かにブスと言われた。
私はあの子より可愛い。
それは嘘、これも嘘、あれも嘘

アイドルを聴いて、観て
顔、可愛くないのになんでアイドルなの
ってそんなこと思ってる私がいちばん可愛くない

小説を書きたくなった。
日常の話
嫌いではじまって嫌いで終わる話

秋は自分を肯定できない
不安定な季節だから
可愛い音楽を聴く
プレイリストには
可愛いしかない

仕事を疎かにした。
恋を優先した。
地味でダサい
いちばん格好悪いことをした。

彼の縛りに従順になって
私はダサくなった

10代の終わり
最高に格好悪い
やらなきゃいけなかったこと
全部投げ出した

彼の為に

やっぱりまだ子どものままがいい。

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