百物語13話目「花火を見る影」(実話怪談)
12話目で出てきた話に関係するような出来事が、ある夏に起きる。
前住んでいたアパートでは、夏に残った花火を使い切ろうがごとく、自然発生的に住人たちと子供が出てきて、花火をやる時間が毎年ある。
その日も、わらわらとアパートの子供と大人が出てきた花火をやり始めた。
我が家も娘のむっちゃんを連れ、全員出てきて花火をしていたんだけど、隣の部屋のご主人が、
「むっちゃんのお友達もおりて来てやればいいのに。遠慮しないで」
と言ってきた。
どうやら隣のご主人には窓から私たちを見下ろす子供が見えているらしい。
今、うちの家には誰もおりませぬ。
とは言えずに、とりあえず愛想笑いでやり過ごす。
まだ住んでいる場所だから、詳しく聞くのは嫌だった。
その子が京都に置いてきた子だろうか……。
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