百物語16話目「英彦山の祓い」(実話怪談)
大人になって通った学校で友達になった人がいた。その彼の母親が拝み屋さんだったと知る。そして怪談を欲している私に話してくれたのがコレ。
それは彼が高校生の頃に起きた。
母親が祓いきれずに、とても強い霊に憑かれたことがあったそうだ。
すると、今までまったく霊感のなかった父親に急激に霊能力がつく。
曰く「これは英彦山に行かなければ祓えない」
英彦山は大分と福岡にまたがる霊山だ。頂上には神社がある。そこに友達と父親と母親は登っていったらしい。
父親は母親の悪霊を祓うべき、ひと晩中祈祷を捧げていた。友達はひたすら寒くて震えていたそうだ。
夜が明ける頃、あるイメージを友達は見たという。
霧の中から白馬に乗った長い白髭の仙人みたいな老人がきた。
気付くと、白髭老人の前に落ち武者のような男が首をうなだれている。
白髭老人は落ち武者の首を刀ですっぱりと斬り落とした。
それで、友達の母親は我に返る。
同時に、今までバリバリに霊能力があがっていた父親が凡人に戻った。
友達はそのことが、とても印象に残っていると言ってた。
今、彼は普通にIT企業の部長職をやっている。
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