百物語延長戦3話「4回死んだ」
何度、店ができても潰れちゃう場所ってあるよね。
今日は福岡でもその代表例みたいなところの閉店日です。
すでに記事にまでなってますが、これで4店目なんですよ。
物凄い一等地に建ってるのに!!!
だって小倉駅出てすぐだよ。博多に比べてと思うかもしれないけど、同人誌即売会とかは、この近くである。
だって、山陽新幹線で本州からくる人は、ここが近いからさ。それに小倉城というお城もあるんだよ。福岡市内は石垣しかない。
こんないい立地なのに……。
ええ、でも地元の人は知っている。
そして、オカルト好きも知っている。
ここ、工事のときに、たくさん骨が出たんだよね。甕棺とかだから、古いんだと思うけど。しばらく、雨ざらしになって、通行人からも見えてたらしい。
この話は福澤徹三さんが北九州の怪談をまとめて書いている「怪を訊く日々」に出てくる。めちゃくちゃ好きな怪談本だ!
福澤さんはデザイナーで、そごう時代に仕事してたはず。
先日小倉で角打ちしたときにも、ここの話を聞いた。
やっぱり、有名だ。
普通にその手の出てくるよ。
工事に入っていた会社の人に会ったけど、霊感が強い人は入れなかったらしい。ごんって肩から何から、身体が重たくなるんだって。
話し声も聞こえてくるという。
特にエレベーターの地下まわり。
私はほとんど霊感ないんで、まったく感じなかったんだけど……。
確か屋上に神社を建てたんだよね。屋上に神社建てるときって、土から離しちゃいけないから、パイプかなんかが屋上までつながってて、土が入っているんだって。
ちなみに、山笠を見るのに最適なホテルオークラも屋上に神社があって、同じように土がつながっているって聞いた。ここは単にお祀りしてるだけだけどね。
そごう時代に、最上階のレストランで友達とディナーをとったことがある。小倉の夜が初めてだった私は、窓から見える光景が不思議だった。
薄暗い中、女の日に焼けていない腕のような青白い煙突が伸びていて、そこから白い煙が立ち上がっていた。不思議と夜なのにはっきり見えた。
工業地帯であり、その昔は七色の雲が出ると言われた大気汚染にさらされた地域だ。
こんな街中であんな高い煙突からの工場の煙、しかも夜に、というのが印象的だった。
そのことを書いた数年後、小倉の人がこのときのことを覚えていて、「あの光景のことを書いてくれてたよね。あれが小倉の光景を象徴していて、ずっと覚えてた」と言ってくれた。
その商業施設が今日、四度目の死を迎える。
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