百物語32話目「神社の引越し」(実話怪談)
前回書いた力の強い神社の話。
ここが道路拡張するために、社の位置を変えることになった。
で、工事の間は御霊はお神輿にお引越しさせる。
それは真夜中に行われた。
祝詞の「あ~あ~あ~あ~~~」という声が響く豪雨の中、滞りなくお移りいただいた、
はずだったんだけど――。
「また、電話が壊れたの」
その神社の隣に建つ実家に帰ると、やたらと家電が壊れるようになっている。
また壊れたという電話機の隣には壊れたという電話機が4,5台重なっておかれていた。どれも原因不明だという。テレビも壊れた。
ある日などは、頼んでもいないテレフォンショッピングの羽毛布団が届いてたりしていた。すぐ返品しだけど。
神様、ふかふかお布団が欲しかったの?
と、ほのぼのエピソードだけでは終わらない。
社は工事前とは、場所も向きもまったく変わってしまう。
え~と、こういう社の向きって結構重要じゃないのかなあ。
うち、大丈夫なの!?
と思った数年後、斜め前の寺の人がおかしくなって代替わりした。
私は向きを変えたからだと思っている。
たぶん、火の魂が全部、寺に向かうようになったからだって。
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