百物語1話目「肉団子」(実話怪談)
今日の昼間、実際に我が家で起こったことだ。
昼夜逆転中の娘が、さあ寝ようと畳の部屋の布団に転がっていた。
そこは私が仕事をしているダイニングと、襖を開ければ続き間になる場所。
突然――。
「おかーさん、おかーさん! 今、幽霊見た!」
と娘が叫び出した。
「え? 今? 今なの?」
と、聞くとたった今だそうで……。
娘から見えるダインニングルームを、私が仕事をしている机へと、今、人が横切っていったと言う。
「あ、でも、人じゃない。首だけだった」
「首?」
「うん……肉のかたまりみたい丸いもの。肉団子みたいなの……」
「肉団子……」
まあ、私にはさっぱり見えないんですけどね。
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