宝くじ魔法学校　#毎週ショートショートnote

宝くじのような倍率の魔法学校に5年浪人してどうにか受かって、当選金とまではいかないもののなかなか高額な学費を支払い、10年という歳月をかけてありとあらゆる魔法を学んだ。

その修行も、晴れて終わりだ。これから下界に出れば魔法使いとしての人生が始まる。

一般的な人生と比べると少々時間はかかってしまったが、魔法さえあればこれからの人生、バラ色に決まっている。
いつも長いとうんざりしていた学長の話も、今日限りだと思うと耳を傾ける気にもなれた。

「みなさんはこれから魔法使いとして世に出るわけですが、日々鍛錬を怠ってはいけません。なんせここは宝くじ魔法学校。いくら知識があったとて、その魔法がうまく出せるかどうかは運次第です。それでも日々やり続けることがなによりも大切。買わなければ当たらないように、唱えなければ魔法は出せない。夢を持って歩んでいきましょう」

あれから10年。
職場では、そろそろバイトリーダーから社員にならないかと持ちかけられている。

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