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オルファVSエヌティー? どっちも推したい私の愛用カッター


私は幼い頃、工作やお絵かきなど手作業で何かを作るのがとにかく好きな子どもだった。
ワクワクさんの「つくってあそぼ」も大好きだったし、夏休みや冬休みに取り組む工作は、もはや宿題ではなく楽しみなイベントごとのようだった。自分のアイデアやものづくりの腕前を試したくて、ゆうちょ銀行主催の貯金箱を作るコンクールにもよく応募していた。

我が家には、兄が中学生になるまでテレビゲーム禁止というルールがあった。そのためボードゲームやカードゲームに飽きて暇を持て余した我々兄妹は、手作りのすごろくやオリジナルゲームを作ったりもした。母が木板に鬼のように釘を打ち込んで作ったピンボールやクッキングシートとマグネットで作ったカーリングゲームでも夢中になって遊んだ。
「マリオがやりたい!」と文句も言わず、お手製の遊び道具で楽しむとっても素直な子どもたちである。なお、兄は中学入学後、プレステの海に沈んでいった。


そんなこんなで工作が身近にあった私はものづくりが大好きになり、デザイン系の大学に進んでプロダクトデザインを学ぶ。
今まで中学や高校でも「器用だね」なんて言われてきた私は、少しばかり、いやかなり自分の手先に自信を持っていた。
しかし大学に入学すると、そこには田舎の子どもが自前のおもちゃで遊んでいたくらいでは敵わないような、もっと器用で有能な学生たちがゴロゴロいたのである。
「私、手作業得意だし」と地元で小山の大将のようにえっへんといばっていた私は、入学早々その小さな山からゴロゴロゴロリと転落し「最後の仕上げのツメが甘いやつ」くらいのレベルに落ちこぼれた。ワクワクさんとゴロリもガッカリの出鼻くじかれヒストリーだ。

中でも私がびっくりしたのはカッターの使い方だった。いや、正しく言うとカッターの刃の使い方だろうか。
大学に入って、普通のカッター以外にもアクリル、塩ビなどのプラスチック板を切る専用のカッターや細かい作業に適したペンタイプのデザインカッター、丸型にくりぬけるサークルカッターなど色々なカッターに出会ったが、私が驚いたのは30度の鋭角刃のカッターナイフたっだ。
私はそれまで30度カッターというものを知らなかったのだ。
30度カッターというのは、その名の通り刃の角度が30度のカッターである。通常のカッターは基本的に45度の刃が多い。


たった15度の違いでそんなに変わるんかいと思うかもしれないが、これがかなり違う。ある時友人に「それ、30度カッターの方が切りやすいんじゃない?」と言われてその存在を教えてもらい、小回りのよさと曲線や細かいカットのしやすさに私は大層感動した。それからは、カッターなのだから鋭いに勝るものはないとばかりにいつも30度カッターを使うようになった。
そしてさらにびっくりしたのは、友人の刃を折る頻度である。

私はカッターの刃を折るというのをあまりしないタイプだった。もちろん刃が欠けてしまったりテープなど粘着質なものを切ってベタベタしてきたなぁと思ったらパキッと刃を折って新しい刃にする。
しかし、大学に入るまではそんなに毎日カッターを使うことがなかったし、実家に昔からあるカッターなんて刃が錆びていたりするものもあった。

「その刃いつまで使うの?もう全然切れてないじゃん」

「え?切れてるよ、ほら」

「いや切れてるけど。切れ味良くないでしょ。見てここ、切り口がちょっとザリザリしてる」

そんな指摘を受け、カッターの刃を折ると確かに新しい刃はスラリと入って切りやすい。

「俺、5〜6回切ったらどんどん折ってくけど」

「えぇ!?そんなに!?」

「切るものにもよるし毎回じゃないけどね。仕上げとか綺麗な作業をしたい時はそうする」

なるほど...。これが惜しい私とクオリティの高い作品を生み出す友人との違いか。まぁ技術の差はそれだけではなかったが。
今まで切れればOKでしょと思っていたり、そんなにパキパキ折るなんてちょっともったいないな...なんて感じていた私は、そこで繊細な感覚を持つことの大切さと、道具の正しい使い方を改めて知ったのである。


制作に打ち込んでいた大学生の時ほど毎日手作業をすることはなくなってしまったが、社会人になった今でもカッターは一番身近な仕事道具の一つである。中でも私はオルファとエヌティーというブランドのカッターを使うことが多い。

上がOLFAのリミテッドSK
下がNTのPRO A AD-2P

OLFAは言わずと知れたカッターナイフのパイオニアブランド。刃先を捨て切れ味を維持する今のカッターナイフを世界で初めて作り出した会社である。
名前的に海外のブランドだと思っていた人もいるかもしれないが、OLFAは日本の老舗メーカーだ。
社名のOLFAは「折る刃」からきていて「OLHA」だと「H」を発音しない国もあるため「OLFA」になったらしい。今でこそ世界中で売られているカッターナイフだが、刃の規格はOLFAの規格が世界標準である。すごいぞOLFA!

黒地に黄色のロゴが特徴的で、カッター自体にもブランドカラーの黄色が使われている製品が多い。工具箱の中でも目立つ色にすることで不意に怪我をしないように、そしてたまごの黄身のように温かみのある色味にしたんだとか。あの黄色には、そんな想いが込められているのだ。


そして、もう一つのカッターはNT。こちらも日本の会社で、なんと調べたところOLFAの創業者が製品化のために在籍し、商品化を実現した会社とのこと。(開発したのがのちにOLFAの創業者となる方で、製品として初めて販売したのがエヌティー株式会社ということらしい)
なんとなくどちらも老舗ブランドなのは知っていたし、そういえばどっちも世界初って言ってたかも...?なんて思っていたけれど、2つの会社にそんな繋がりがあったなんてびっくり。物の歴史を調べてみると、面白いことがわかったりする。

ちなみにこちらがそれぞれのメーカーの30度カッターの替え刃。
OLFAの替え刃のいいところはなんといってもこのスリムなケース。対してNTはパキッと折った刃をそのままケースに収められるのがよい。しかも廃棄する際はあとできちんと分別して捨てられるようになっている。こういう細やかな仕様もさすが日本メーカーという感じだ。


ちなみに私は自宅や職場ではどちらも使うが、外に持ち歩く時はカッター本体はNT、替え刃はOLFAということが多い。なぜならそのセットが一番スリムだから。(なので写真のNTのカッターにはOLFAの替え刃がついている)

OLFAのリミテッドSKもかなりスリムだけど、これ以外にもいろいろと道具を持ち歩く私としては、わずかばかりでもコンパクトな方がよいのだ。
もちろんどちらのカッターにどちらの刃を入れても使えるし、安心の使い心地なので2つとも仲良く使っている。

こちらは大型カッター。
こっちは本体がOLFAで替え刃がNTですね...。どちらのカッターにどちらの刃を入れても使えるし、安心の使い心地なので(以下略)
大型カッターは滅多に使わないので今付いてる刃、あまり状態がよろしくないな...。

これは職場の共用ツールボックスにあったかなり年季の入った2つ。どっちも若干錆びとる...。5回切ったら刃を折る友人に見られたら溜息を溢されそうだ。

こちらはプラスチックカッター。
先端がフックのような独特な形をしていて面白い。アクリルなどのプラスチック板に削るように切れ込みを入れて切断する。

替え刃ケースもあるけど、実は本体の中にも替え刃を仕込めるので「ちょっと外でアクリル板切ってくるわ」という時は(どんな時だ)、これだけ持ってっても十分。

これはペンタイプのデザインカッター。握りやすくより細かな作業が快適にできる。アルミ製のボディにブラック塗装、銀色のグリップがかっこいい。黒が好きな私は、30度カッター同様このリミテッドシリーズのものを愛用している。


いつも何気なく使っているこれらの道具だけど、正直いつ買ったかわからないくらいなので、おそらくかれこれ10年以上の長い付き合いなのではないかと思う。OLFAもNTも、どちらも信頼&愛用している私の仕事道具だ。
たまーに本体の先端でドライバーやスクレーパーみたいな仕事もさせたりしてごめんね…(小声)


さてここからは、持ってはいないけど私がいいなぁ!欲しい!と思っている2つの会社の面白い商品をご紹介。

OLFA キリヌーク

こちらはOLFAのグッドデザイン賞を受賞しているカッター。なんと、上の紙一枚だけを切ることができるという一枚切り用のカッターである。

キリヌーク

商品説明によると「本体に内蔵されたバネが刃の圧力を一定に保つので、使う人のチカラ加減に左右されない安定した一枚切りが可能」とのこと。新聞などの薄いものから雑誌など厚めのものまで幅広く使えるという。
一枚だけ切れるってすごくない...?使ってみたい...!
新聞も取ってないしスクラップブックを作る趣味もないが、これを使うために新聞や雑誌を買ってスクラップしたくなるくらいだ。

OLFAの製品はこちらの「キリヌーク」もそうだが、開梱用のカッター「カイコーン」や子ども用の安心設計のカッター「キッター」など、わかりやすくユニークな名前がついているところも好き。

NT コンパクト円切りカッター

こちらはNTのめちゃくちゃコンパクトなサークルカッター。
人気文房具店のプロが選ぶ文房具屋さん大賞2024にもランクインしている。
(めちゃくちゃどうでもいい余談だが、円切りカッターだと脳内で漢字変換を間違えるとものすごく怖いイメージがあるので私はサークルカッターと呼ぶことが多い)

コンパクト円切りカッター  C215P

コンパクトラブな私としては、このシンプルかつミニマムなデザインで、ちょっとした円が切れるなんてとんでもなく惹かれる。大学生の時に欲しかった...!
ちなみに学生時代はこれを使ってました。

薄物円切りカッター C-1500P

便利なんだけど、なんせ大きいのと慣れるまではうまく切るのが結構難しい。でも懐かしい〜!初めて綺麗に切れた時の嬉しさ、覚えてる。


やっぱり文房具って見てるだけで、今でもなぜかワクワクする。
今後ももっともっと便利な商品ができたり「うわーこういうの欲しかった!」と唸るような面白いプロダクトがたくさん生まれるのだろう。
新しい製品も使ってみたいし、今までお世話になってきた道具たちもずっと大切に使い続けていきたい。

これからもOLFAとNTのカッターと共に、ワクワクするものを作ったり、楽しい手しごとをしていこう。


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日野笙 / Sou Hino
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