節分胎教、接吻代行　#毎週ショートショートnote

「鬼は〜外、福は〜内！」

子どもたちがはしゃぎながら豆を投げる。

「ねぇパパ全然怖くない！」

「去年のママの方が怖かったよ」

「え〜そう言われてもなぁ...」

毎年節分は私が鬼のお面を被って子どもたちと走り回っていたけど、今年は見学。けれど2人は、パパの鬼では物足りないようだ。

「...あっ、動いた」

「ほんと！？」

「うん、今カナが福は内って言ったら反応したよ」

「え〜！一緒に豆まきしたいのかな？」

「名前、ふくちゃんがいいのかもよ！」

2人が駆け寄ってきて私のお腹に手を当てる。

「おーい、聞こえますか〜？」

「早く出ておいで〜！」

「ふふ、生まれる前からお姉ちゃんたちに可愛がられて、幸せだね」

カナが耳をあてると、ユキがお腹にキスをした。

「ママはちゅーできないでしょ？あたしがママの分もしてあげるね」

すっかり存在を忘れられた旦那がそれを見て一言。

「いいなぁ、パパにもしてくれる人〜？」

『鬼にはしませーん！』

2人はケラケラ笑いながら再び豆を投げ始める。

来年からはもっと騒がしくなるんだろう。
この子たちにどうかたくさんの福が訪れますように。

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