ネコクインテット #毎週ショートショートnote
クインテットに欠員が出た。
コンサートは来月に迫っている。
しかしこの楽団、入団条件がかなり厳しい。
演奏の腕はもちろん、楽団の名に恥じぬようにとある特殊な条件を設けていた。
「で?あなたはどんな"猫"をお持ちで?あちちっ」
ふぅふぅとコーヒーを冷ましながら団員の一人が聞く。
「はい!猫車を持ってきました!楽器は弾けませんがローディとして雇って下さい!」
「うーん却下。うちは奏者を探してるんだよ」
最年長のリーダーが丸い背を更に丸くして肩を落とす。
「ね〜ぇ、お願い...仲間に入れて?」
猫撫で声の若い娘に、団員の女が愛想よく謝りながらも他のメンバーに囁く。
「ごめんね〜?もう定員になっちゃったの。(私とキャラ被るからダメ!)」
「なかなか決まらないなぁ。で、君は?」
ふわふわの細い毛をくるくると指でいじりながら団員が聞く。
「僕はちょうど欠員になったチェロの奏者です。みなさん猫の手も借りたいでしょ?」
その一言で新しいメンバーが決まった。
「いやぁよかった。くれぐれも辞めないでくれよ。次を見つけるの大変なんだ」
「そういえば前の人はどうして辞めたんですか?」
「手癖が悪くてさ。コンサートの売上を持って逃げたんだよ」
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