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あぁ、 知っている街になってしまったな。


”新しい生活”を感じる瞬間が好きだ。
誰も知らないところに行くのも好きだし
何かが始まる感覚や、通ったことのない道を歩くのも好き。


ただこの"新しさ"が、いつのまにか
"当たり前の日常"に変わっていることに気づいた瞬間。
私はいつも、ちょっと憂鬱になる。


慣れた街はもちろん過ごしやすいし便利だし、
普段はなにも思わないのだけど。

あの、"新しさ"に気持ちが高揚するウキウキが消えた悲しみなのか、
当たり前だった前の街を忘れていくことへの憂いなのかはわからない。
ただ、"定着"してしまったことになんとなく、がっかりするのだ。



この街に引っ越して来た時。
目新しい駅の改札を出ながら、あぁ知らない場所だな。
でもきっと、この景色にも慣れていくんだろうな。
なんか、嫌だな。
と思った。

街が嫌なわけではない。
知らない場所が嫌なわけでもない。

慣れ親しんだ街を去ってしまった若干のノスタルジックと
この目新しい景色にも、いずれ慣れていってしまうんだろうと、
平たい気持ちになっていくことを想像してしまったことが
なんとなく、嫌だったのだ。

新しい街にウキウキするよりも憂鬱な気分が先行したのは
いつもより、前の街に後ろ髪を引かれていることもあるかもしれない。


それでも、毎日の生活は続いていく。
繰り返しながら、形を変えて。



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