ギルティ女史と私の秘密
今日も慌ただしいオフィス。
ギルティ女史はいつものように猛スピードで仕事をこなしている。
私のアシスタントというポジションに、当時どれだけ応募が来ていたかは不明だが、書類審査と面接の結果、通過した5人にはトライアルという1週間のお試し期間があった。
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他の候補者がトライアル中に泣いたので落としたというとんでもないエピソードを聞いた私。
ビクビクしながらなんとか仕事をこなし、毎日怒られたり呆れられたりしながら、それなりにそこでの仕事に慣れ始めてきたのだが、そんな私には、誰にも言っていないある秘密があった。
それは、トライアル中に起こった1つのアクシデントだった。
トライアルでは、マニュアルに沿って作業をこなしながら、そこには記載されていない突発作業の細かな手順などは、先代のアシスタントであった個性的なファッションの通称「下北さん」が教えてくれ、その場で覚えていくというスタイルだった。
そういう性格なのか、トライアルという試験期間だからなのかはわからなかったが、下北さんは基本的にいつもクールで、丁寧に作業を教えてくれはするものの、物言いはかなりつっけんどんであまり私に興味がないような態度だった。
トライアルも日程の半分が過ぎ、残り2日ほどという日だっただろうか。
いつものように、今日のレビュー(ここがよかった、この作業が遅いなど)を下北さんに言われてその日の仕事が終了。
翌日彼女が使う資料をコピーしてもらい、明日はこれに一緒に目を通しながら一通りの流れを覚えるようにと言われ、私はそのファイルを持ってオフィスを出た。
下北さんにはまだ仕事が残っている。
一日中勝手もわからずおろおろする新人を見続け、レクチャーをしながら自身の仕事もこなし、さらに引き継ぎの準備をする下北さん。
今思い返すと彼女はその時期、かなりのハードワークだったのだろうと思う。
しかも、私は5人目のトライアルである。
採用するかもわからない週で変わる新人に毎回同じことを教え、自分の仕事も平行してこなすのはかなりの重労働だ。
疲れていれば、当然ミスをすることだってある。
私がオフィスを出て電車に乗った頃、電話が鳴った。
着信は下北さんからだった。
何か急用かと思い、一度ホームに降りて急いで電話に出る。
「終業後にすみません!まだ、オフィスの近くにいますか!?」
いつもクールな下北さんからは想像できないほど、彼女の口調は焦っていた。
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