スベり高等学校 #毎週ショートショートnote
スベってる。かつては笑いの取れない芸人の烙印のように使われたワードだったが、時代とともにそれは変わった。
スベることを逆手にとって笑いにするというスベり芸が浸透した結果、多くのスベり芸人が人気を博すようになった。
そして俺はそんなスベり芸の申し子だ。両親共にお笑いを職にしていて、しかもタイプでいうとスベり芸人。つまりスベりのサラブレッドなのだ。だから俺はスベり芸に誇りを持っている。
そんな俺が選んだ進学先はただ一つ。数ある養成所の中でもスベり芸に特化した確かな技術を学べる「スベり高等学校」だ。
「あんた進路調査票書き終わってないじゃない。どうするの?」
「俺はスベ高単願だから」
「そんなこと言って、落ちたらどうすんのさ?」
「大丈夫だよ、スベ高は学力的にはもう誰が受けても受かるようなレベルだから」
余裕をかます俺に、スベりのプロである母が言った。
「あんた…そんな滑り止めみたいな学校行って、ちゃんとスベれるんだろうね?」
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