放課後ランプ #毎週ショートショートnote
「日直、この後理科室まで来るように」
そう言って先生が教室を出て行く。最悪だ、俺じゃん。
渋々理科室に行くと、誰かいる。違うクラスのやつかな?
「お前も日直?」
そいつは小さく微笑んだ。
「だりーよなぁ。早く放課後になんねーかな」
「どうして?」
「だって授業つまんねーじゃん」
「放課後は好きなんだ」
「そりゃそうだよ遊べるし。もうずっと放課後でいいよ」
「じゃあ...これ使う?」
「何それ」
「放課後ランプ」
そう言ってそいつはランプにふっと息を吹きかけた。
あれから退屈な授業がなくなった。
それどころか朝も夜も、家に帰ることもない。
「ねぇ、次は何して遊ぶ?」
ランプを持ったあいつが追いかけてくる。
学校から出られない。
放課後が終わらない。
俺は放送室に走った。音量を最大にして、CDをかける。
校内に「家路」が響き渡ると、ぱりんと音がした。
「おい、何してるんだ」
先生の声に目を開けると、そこは理科室。
机には割れたランプが転がっていた。
放課後がやっと終わった。
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