ええねん会議 #毎週ショートショートnote
「先月やらかしてさぁ、数字いじっちゃったよね」
「そんなん言ったら俺なんてこの前...」
今日は同僚2人との忘年会。
酒も回り始め、口が軽くなってきた。
「ま、"ええねん"だよ」
「今日はそういう日だろ?」
「にしてもお前が幹事に選ばれるなんてな」
「誘ってくれてありがとな!」
「いいんだよ、今日は思いっきり飲んで好き放題やろう!」
『乾杯!』
僕は酔ったふりをして調子よく言った。
我が社には年末にええねん会議という催しがある。
今年度の功労賞として社長に指名された1人が、飲みたい社員を誘って豪遊できる忘年会のようなものだ。
支払いは全て社長持ち。愚痴を言うもよし、スキャンダルを暴露するもよし、その日だけは「ええねん、ええねん」と飲んで騒いで楽しんで欲しいという社長の計らいである。表向きは。
ー数週間前ー
「今年はお前が幹事な」
「え!ええねん会議のですか?」
「これが今回のメンツ。同期やし誘いやすいやろ」
「幹事が人を選べるんだと...」
「こっからはオフレコな。幹事の仕事はただ一つ。しこたま飲ませてぜーんぶ吐かせることや。奴らを横領疑惑で今目ぇつけとる。わかっとるな」
「これってもちろん強制...ですよね?」
「密告するか自分がその罪被らされるか、まぁ好きな方選んだらええねん」
ーーー
「な、なぁ。なんかもっとヤバい話ないの?今日は"ええねん"だろ?面白い話聞かせろよ」
「え〜どうする?」
「ま、せっかく誘ってくれたしな。誰にも言うなよ?実はさ...」
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