二次会デミグラスソース #毎週ショートショートnote
『この床のシミはあの時の...つまり、犯人は貴方だ!』
『くそ...』
観念した男がすごすごと連行されていく。
「いやシミって。はは、こんなんでわかるかよ」
テレビに悪態をついていると、一緒に見ていた彼女がくるりと俺を見て言った。
「私もできるよ?」
「マジ?こわ〜」
突如始まった探偵ごっこに笑いながら応える。
「じゃあ今着てるシャツに付いてるこのシミ、なーんだ?」
彼女が俺のシャツをそっと指差した。
「あー、なんだったかな?今日昼に付いちゃったのかも」
俺は咄嗟にシミを隠しながら言う。
「違いまーす。それは先月忘年会の二次会で付いたシミ」
「え?...あ、あぁ〜二次会...そういやそうだったかなぁ」
「厳密に言うと二次会と称して同期のエリさんの家で食べたデミグラスソースのシミ」
「いや、何言って...」
「ちなみに"料理うまいね!"とか褒めてたけど、あれ粉で売ってる栗原はるみのデミグラスソースだから。料理上手いのはエリじゃなくて、はるみ」
「え...ちょっと、なんでそんな...」
「普通の洗濯じゃ落ちないんだよ?はい、こっち来て」
俺はすごすごと洗面所に連行されていった。
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