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ヒノトリ旅日記1 〜着いてないのに食い倒れ〜

5月に海外に行ってきた。旅程はトルコ5泊、帰りにドバイ1泊。
実に6年ぶりの海外旅行、旅のパートナーは大学時代の友人、鳥貴族大好き通称トリちゃんである。彼女とはかれこれ3回ほど一緒に海外旅行に行ったことがあり、私の海外旅行と言えばwithトリちゃんという感じになっている。ちなみにトリちゃんは私以外の人とも結構海外に行っている。お金持ち。そして海外旅行は好きだけど1人では行かないタイプだ。


出発の日、フライトが夜の便だったため、仕事を終わらせてから半休を取って夕方成田へ。
私たちは海外旅行に行く際、いつもかなり早めに集合する。飛行機に乗り遅れないようにではない(それもあるけど)。これから始まる旅を祝い、そして日本食との送別会を行うため。
要するに、せっかく休暇を取ってこれから楽しみ切るのだから飛び立つ前からもうフライングではしゃぎたい。一刻も早く飲みたいというのが目的である。

最後の晩餐、ここはやっぱりお寿司でしょうと空港内の「すし好」で旅の始まりに乾杯。(ここから乾杯カウンターを記録する)

乾杯1

芽ねぎの握りと海鮮ばくだんで生魚、薬味、ねばねば食品としばしの別れの儀。
付け焼き刃のように買って来た地球の歩き方をこのタイミングで2人で覗き込みながら、これから始まる旅へのわくわくを堪能する。
瓶ビール1本シェアと、ハイボール1杯ずつではさすがに長くは居座れないなとすし好を出る。


チェックインして早めに保安検査場を通過。
いつもバタバタする我々なので今回は余裕を持って、中に入ってからゆっくりもう一杯ひっかけようということに。
しかし、出国手続き後のエリアの方が思ったよりもいい感じのお店がない。どこも高いし吉野家ですら1,000円越えの定食メニューを展開している始末。さすが空港価格ぅ。

でも安いからと言って500円の牛丼小が食べたいわけではない。ひょいぱくがしたい。
私たちがよく使うワード「ひょいぱく」。一杯飲みつつ軽く食べられる何かを探していたのである。(要するにつまみ)
こんなことなら出発ロビーの方でたこ焼きでもつつけばよかったかなんて思いつつも、結局売店のようなところを発見し、無事角ハイの缶とじゃがりこ、クラッツ、個包装の乾き物などをゲット。このおつまみたちが後に我々を救うことになろうとはこの時の私たちはまだ知らない。

「これから水が1,000円するって噂のドバイに行くんだからね」「うんうん、ここで散財はしてられん」と財布の紐を堅くする私たち。
じゃあ飲むなという話だが、そういうわけにもいかない。お酒を楽しむのも私たちの共通の趣味であり、この休暇の、旅の醍醐味なのだ。

適当なところに座って乾杯でもしましょうかと落ち着けそうな場所を探しているとトリちゃんがバーガーなどを出すファーストフードの店で立ち止まる。

「あ、あたしこれテイクアウトする〜ピザ食べよ!」

「ピザぁ?」

ポテトでも買うのかと思ったら所望したのはスモールのピザ一枚。
え〜、この先の地でも食べられるかもしれないのに今からピザかよと難色を示す私。しかも当然ながら安くはない。ここでピザにお金を落とすのか...。

「あたしが出すからいいよ。ヒノちゃん、どうせ半分も食べないでしょ?あたし多分食べ切れる」

全ての思考が読まれつつそう言われ「ワンカットなら...つままんこともないぞ」と偉そうに答える私。
さすが長年の付き合い、私の偏食と少食をわかっているトリちゃんは決して無理強いしない。
いい感じのゆったりチェアを見つけてそこで乾杯。

乾杯2

次々と聞こえてくる搭乗案内のアナウンスを聞きながら、ピザを食べ、ハイボールを2缶ずつ。生地が薄めで辛いソースもついていたピザは手を伸ばしやすくて、結局半分いただいてしまった。トリちゃんは別に怒らないし「ワンカットしか食べないって言ったじゃん!」なんてことも言わない。
そう、彼女はとても優しくておおらかなのだ。良く言えばゆるく、悪く言えば甘い。人にも、そして自分にも。

「あぁ〜どうしよう〜!!寂しい〜!終わっちゃうよぅ」

トリちゃんが角ハイボールの缶を握りしめながら悶えるように嘆いた。嬉しいような悲しいような顔をしておかしなことを言うトリちゃん。
早くも1缶目のハイボールを飲み終わってしまうと惜しんでいるのかと思ったら、なんならまだ飛び立ってすらいないというのに、この旅が始まったことに、そして始まったということは終わってしまうということに寂しがっていた。

でもその気持ち、ちょっとわかる気がする。
旅のはじまりは、旅の終わりへのカウントダウン。終わりのはじまりなのだ。
未知だった時の方がわくわくして、だんだん実際に知っていくとなるほどこういうもんかとなんとなく言い得ない高揚感が萎んで慣れていくように、このまだ見ぬ冒険も、始まったということは終わってしまうのだ。
もしかすると、私たちはそれを感じていたから、できるだけわくわくを長持ちさせたくて大して調べもせずにこの旅に挑んでいるのかもしれない。というのはさすがに怠慢の言い訳だけど。


ほどほどに時間を潰し、余裕で飛行機に乗り込む。
最初のフライトは成田からドバイまで。ドバイには早朝に到着して、そこからイスタンブール、カッパドキアへと乗り継ぐ。つまり旅が始まったと言ってもこれから丸一日はほとんど飛行機の中だ。

普段長距離移動もめったにしないし、機内食の出ないLCCなどを利用することも多いが、今回はツアーでチケットを取ったため、航空会社はエミレーツ航空。そしてエミレーツではエコノミーでも機内食がついている模様。やったぁ。機内食ってわくわくするよね。

搭乗してしばらくするとさっそくいい香りが漂って来た。
時刻は24時半頃。これは一体何ごはん?お夜食かしら。しかしそんなことは気にしない。だって機内食、食べたいもん。

来たぞ来たぞ、あれだよね。Beef or Chicken?のくだりだ。前の方からカートを押してCAのお姉さんが順番に席に食事を運ぶ。彼女はおそらく日本人...だろうか。綺麗だなぁ。バッチリメイクと暗い照明のせいか国籍はよくわからない。
CAさんがついに私の前の席までやってきた。なんて聞かれるのかしら...。

「Fish or Noodles?」

お?え?
前の人への問いかけに後ろで静かにびっくりする私。ビーフでもなければチキンでもない。フィッシュかヌードルとのこと。なにそれなにそれ。そんな2択もあるの?
フィッシュって...広すぎない?お肉の場合は牛やら鶏やら聞かれるのに予想以上にざっくりとした選択肢に私は驚いた。そして悩む。
どっちがいいかなぁ。フィッシュもヌードルも、何フィッシュか、何ヌードルかによる。でも何の魚ですか?って英語で聞くんだよね?なんて聞けば...
考えているうちに、CAさんが私のもとにやって来た。

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