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ギルティ女史と夏の陣①
今日も慌ただしいオフィス。
ギルティ女史はいつものように猛スピードで仕事をこなしている。
【ギルティ女史はプラダを着ない】
「働くとは、仕事とは何か」を教えてくれた、元上司のぶっ飛びストーリーをまとめたエッセイマガジン。
※連載ですが1話完結のためどこからでも読めます。
珍しく、今日は特に呼び出されることもなく、彼女はなんだか集中して席についてパソコンとにらめっこをしている。
そしてしばらくして、いきなり彼女は言い出した。
「よし。これに決めた!」
彼女がそう言って、私を見ながらふいっとプリンターの方に顔を向けたので、何か出力したんだなと思い、私は急いでそれを取りに行く。
良く言うと阿吽の呼吸、悪く言うと文字通り顎で使われるのがなかなか板についてきた。
出力されたものを見ると、そこにはあるアワードの募集要項が書かれていた。
内容的には、簡単に言うと何かしらの紙素材を使って作品を作る、というようなものだ。
「今年の夏は、スタッフ全員アワードに1つ出すこと。もちろん自分で好きなアワードを見つけてきてもいいけど、リサーチする時間がなかったり、調べるのが面倒な人はこれね。みんないつも2Dばっかり触ってるから3Dもたまには楽しそうでいいでしょ?」
様々なデザインを行うこのオフィス。
確かに同じデザインというくくりと言われたらそうなのかもしれないが、平面と立体の世界ははっきり言って全くジャンル、似て非なるものと言っても過言ではない。
楽しそうでしょなんて言っていたが、そもそも得手不得手もあれば、専門外であったり「畑違い」という人もたくさんいるはずだ。
もちろん「平面立体問わず、ものづくりならなんでも好きだし得意です」という人も中にはいるだろうが、このオフィスを見ている限り、彼らは完全に「平面畑」の人が多かった。
当然だ。ここにはそのエキスパートたちが集っているのだから。
しかし、彼女にとってそんなことは全く関係ないようだった。
なんのためらいもなく提示してくるあたりがギルティ女史らしいし、もしかすると彼女はディレクターではなくプレイヤーの時代、先程言ったようなオールマイティなタイプだったのかもしれない。
そして、この予想は的中し、後に私は度肝を抜かれることとなる。
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