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新たに出会った「文字を書く私」は、普段の私よりもなんかいい人間っぽい。



2021年、私はnoteに出会った。
厳密に言うと2020年の終わり頃にその存在を知ったのだが。

私の中で特筆すべき #2021年の出会い  と言われたら、間違いなくこのnoteだったり、その中で出会えた人、そしてそこで感銘を受けた文章や作品がかなりの比重を占めていると思う。

また、それにより私はもう1つ、新しい存在と出会った。
それは「文字を書く自分」である。


プロフィール文に「デザイン/文筆/コピーライティング」なんてさもそれを生業としているかのように書き連ねている私だが、私は実際文筆業やコピーライティング業を主軸の仕事としてご飯を食べている人間ではない。

仕事の一環で自分の関わる分野で少し文章を書いたり、宣伝会議賞などの公募に趣味のようにそれっぽいキャッチコピーを応募してみたりしたことはあるが、頑張って絞り出して文字との関わりを探し出してもまぁそれくらいである。
大喜利のような気分で応募したキャッチコピーも、いいとこ二次審査を通過するくらいが関の山で、賞なんて箸にも棒にも引っかかったことはなかった。


つまり、私のプロフィールは半分嘘のようなハッタリのようなものなのである。しかし、これはひっそりと自分に課したハッタリでもあった。
私は「文筆」「コピーライティング」をしている人として存在することができるかどうかを、このnoteを始めた時から自分の中で実験していたのだ。

最初は正体不明だった「文字を書く私」は、記事が増えるにつれ、徐々にどのようなキャラクターなのかがわかってきた。


「文字を書く私」は、私が思っていたよりもなかなか強欲だった。
コンテストが開催されれば、どうにか賞を取れないかとテーマに頭を悩ませながら、これなら...と思えるものを書いた。

「文字を書く私」は、とても臆病でもあった。
常に「こんなことを書いたら批判が来るのではないか」「この口調では人を不愉快にさせるだろうか」「この日本語の使い方、間違っていないだろうか」色々なことにビクビクしながら、それでもここにはこの表現を使いたいと自分の信じた言葉を綴っては、恐る恐る公開のボタンを押した。

また時として、エンターテイナーになりたがっている節も垣間見えた。
自分の書いたもので、誰かが笑ってくれたり、喜んでくれたりしないものだろうか。どういうことをどんな調子で書けば読む人が誰も傷つかず手放しにわははと笑ってくれるだろうかとしっくりくる言い回しを探した。


なんにも考えてないですよ〜。ただ書いてみただけなんですよ〜というかっこつけた態度を取りながら、どうにかして「なんか読みたくなることを書いている人」になろうと奔走していたのである。

そして「文字を書く私」はかっこつけの割に、人に対してはとても正直だった。人からのコメントを真摯に受け止め、褒めていただいた時は素直に感謝し、何か自分とは違う意見を持った人からの声をいただいた時はなるほど、そういう考え方もあるのかと、自分の価値観の枠を外して受け止めた。


「文字を書く私」は、いつの間にか私がこれまで知っていた「私」よりもすごく素直で、割と誠実で、ちょっとお調子者で、怖がりで人の目を気にしつつも自分の想いを表が出すことができるキャラクターとして、私の中でその存在を確立していった。
「文字を書く私」、なんか私よりもちょっといい人間っぽい。しかもすごく楽しんで生きてるっぽい。
羨ましいと嬉しいの間のような複雑な気持ちが湧いた。


そろそろ「え、何言ってるんですか?全部お前やないかい。まーた君は自分の話ばっかりしとるな」という声が聞こえてきそうである。

しかし私の中で「文字を書く私」は、同じ私なんかではなく、明らかに新たに出会った存在なのだ。
そして私が去年出会えた多くの人やものは、間違いなくこの「文字を書く私」が出会わせてくれたものだ。


新たな人やものとの出会いは、自分を変えてくれる。
そして、新たな自分との出会いもまた、今までの自分を変えてくれる。

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