リカちゃんと母がもたらしてくれたファッションへの目覚め
私の初めてのファッションへの興味は、かっこいいやかわいいへの憧れよりも、強烈な「ダサい服」との出会いがもたらしてくれた。
私は昔、とにかく「コーデュロイ」が嫌いだった。
原因はわかっている。
母が作ったリカちゃん人形の服のせいだ。
母の口癖は「そんなのお母さんが作ってあげるよ」だった。
私がいくら店で見たこの服が欲しいと言っても、こんなおもちゃが欲しいと言っても、母は大体先程の名言を述べ、とにかくなんでも自作した。
母のオリジナル作品については以前にも書いたことがある。
ある時、私が駄々をこねてリカちゃん人形の可愛い服が欲しいと言うと、母は例の言葉通り、リカちゃんの服を作ってくれた。
小さい服ながらもきちんとミシンで縫ってあり、クオリティは高い。
母はいつだって本気だ。
だがしかし、その完成した服を着せられたリカちゃんを見て、私は驚愕した。
タートルネックのノースリーブにアームウォーマー。
そして、ボトムスはミニスカートにレッグウォーマー。
まず、ウォーマー過多である。
こんな子が現実にいたら、もうそんなにウォームするのなら長袖長ズボン着とけよとツッコミを入れたくなるだろう。
おそらく制作上簡単な形を選んだ結果、こうなったと思われる。
オシャレ風にアームウォーマー、レッグウォーマーなどと呼んでみたものの、要するに4本の筒だ。手足に筒を装着したリカちゃんである。
とはいえ、これだけ聞くとうっかりオシャレコーデのような気がしなくもないと思う人もまだいるかもしれない。
しかし、母の選んだ布の素材と色には大きな問題があった。
母はこれら全てのアイテムを、全く同じカーキ色のコーデュロイ生地で作ったのである。
ここから先は
サポート、嬉しいです。小躍りして喜びます^^ いただいたサポートで銭湯と周辺にある居酒屋さんに行って、素敵なお店を紹介する記事を書きます。♨🍺♨