クリスマスカラス #毎週ショートショートnote
「ねぇ、せん…サンタさん!僕、今年のプレゼントはクリスマスカラスが欲しい!」
少年が無邪気に言う。
赤い服を着た男は、はて?という感じで顎をさすった。
「知らないの?クリスマスカラスの絵本。クリスマスには真っ白なカラスが良い子のところにだけ来るんだよ」
「そりゃ初めて聞いたなぁ」
「僕もね、ほんとはそんなのいないと思う。でもどうしても欲しいの」
「どうしてそんなに欲しいのかな?」
「僕のパパね、珍しい動物の研究をしてるんだって。だからいっつも忙しくて全然会えないんだ。でも、僕のところにクリスマスカラスが来たら、パパもそれを見に帰ってくるかもしれないでしょ?」
「ほぅほぅなるほど。わかった。必ず君の願いを叶えよう」
聖夜、男はある家に向かった。
ドアを無理やり開けるとそこには2人の男女が。
「ちょっと、アンタなんなの?警察呼ぶわよ!」
男が部屋に入り唐突に始めたのは、ある幼稚園児の話。
「というわけで、ここに来ました。僕こう見えて仕事熱心なんです。刺し違えてでも僕は今日、あなたを彼の元に連れて行きます」
にっこりと笑う男の赤いエプロンには、白い鳥が描かれていた。
(473字)
ここから先は
0字
サポート、嬉しいです。小躍りして喜びます^^ いただいたサポートで銭湯と周辺にある居酒屋さんに行って、素敵なお店を紹介する記事を書きます。♨🍺♨