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父親(4)


父親の見舞いに来た、と名乗る男に、ナースステーションにいる女の人は、割とすんなり病室を教えてくれた。412号室、入口を入って左、窓側のベッド。

そこには、顔色の悪い老人が眠っていた。それは、「眠っている」状態、なのか?Eさんは、すぐにナースステーションへ引き返す。

「すみません、もう20年も会っていないんで状況が分からないんですが、待っていれば、目を覚ましますか?」。我ながら、血の通わない質問だった。

でも、女の人は、彼のことをとがめたりも疑ったりもせず、「一緒に病室へ行きましょうか」といって先に立って歩き出してくれた。


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皮膜
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