病床
病床の不足に伴って、ウイルス検査で陽性になっても自宅療養を強いられる人は、多い。その人たちに電話で健康観察する。それが今日のEさんの仕事でした。
「今日の体温は?」「自覚症状に変化がありますか?」聞く方も聞かれる方も容体の急変におびえながら、でも、暗黙の了解のようにお互いに明るい声で。
不調を訴える人もいます。でも、彼等に回せるベッドは、少ない。「また明日電話するから、引き続き体調に留意して」。祈る気持ちで受話器を置きました。
それが今日のEさんの仕事でした。徒労にも似た気持ちを抱えて乗ったバスの窓に、寂しく点る部屋の明かりがたくさん通り過ぎて行きました。
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