![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/162190101/rectangle_large_type_2_46f0d18e10879314cc3e4d9ff5530f44.png?width=1200)
#2411273
城と呼ばれる官庁の役人に測量師として雇われ、雪深い村にやってきた男は、でも、一向に雇い主に会えず、仕事を始められない。
接触を試みる男に、村民たちはその難しさを語る。「こちらから城のだれかに電話をかけると、あちらでは下級の課のあらゆる電話のベルが鳴りだすのです」。
巨大官庁に翻弄される異邦人の姿を描く。カフカの「城」は、そんな小説だった。昼下がり、市役所に電話しながら、Eさんは、そんな話を思い出していた。
父親の死亡の手続きのために、もう随分と電話口で待たされている。保留音は、必要以上に軽快で、自分の悲しみが世間と共有されないものだと教えられる。
いいなと思ったら応援しよう!
![皮膜](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/15889668/profile_01c477f6da7f08085640eab043e25638.png?width=600&crop=1:1,smart)