人事異動に伴って、Sさんから仕事を引き継ぎます。午後イチから時間をもらって、新しい職場に赴けば、Sさんが引継ぎ資料を作って待っていてくれました。
Sさんの資料は、ひとつひとつが丁寧で、思い入れを感じます。説明も、まるで思い出話のように、何だかとても楽しそうです。
「この人は、今の仕事が好きだったんだなぁ」と、Sさんのつぶらな瞳を見ながら思います。「こういう人って、異動させなくてもよかったんじゃない?」とも。
仕事に思い入れのない私は、「自分は次の人に、こんなに楽しそうに引き継げるかなぁ」といぶかっていました。いつの間にか、差し込む日が傾いています。