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父
父が買ってくれたガラス製の筆立てを落として割ってしまった向田邦子さんは、「筆立てはどうした」と父に尋ねられ、「壊れました」と答えました。
父は、「ちゃんと言ってみろ、おまえが壊したんだろう。それとも、ジーッと見ているうちに、筆立てが自然にバカッと割れたのか」と娘を叱り飛ばします。
私は声をヒクつかせながら、つまる声で答えた。「落っことしました」。すると、父は少し声を落として、「そんなのは、壊したというんだ。壊れたというのとはぜんぜん違うんだ」。そして紙に鉛筆で、「壊れた」「壊した」と書き、私の顔につきつけると、「どうだ、違うだろ、ハッキリしろ、これからも、ずっと、そうしろ」と命令した。
主語を明らかにして能動態で語る。それは、向田さんの言葉でいえば「自分の行動に責任を持つ」ことに他なりません。
イコモスが計画の即時撤回を求めた神宮外苑の再開発について、事業を認可した当事者である都知事は、事業者が責任を持って情報発信すべき、と述べました。
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