―深夜ー(20191018)
食べかけのパンと赤ん坊の寝顔
暗闇でテレビの明かりが茶色な
とがった言葉を壁に縦に線を引いて
モチーフよりも背景が広い時間の
お金のかかった持ち寄り作品が
画面の切り替わりだけで作られて
コマーシャルには宣伝効果よりも
音量とメロディと痛い色ばかりが
夜には全然目立ってしまうようで
若い女性が、頭上からくしゃみを
して、足を触り、吐き気を感じながら
過ぎて行く不安をやり過ごそうとして
全体的に少しずつ悪くなっていく絵を
映し出すように暗い調子で語るマイクが
隣のアナウンサーの口角を左上に曲げ
時計の数字が3つ揃って、空気を
本の中までしみ込ませる不吉さ
過剰な拍手の音は画面にむしろ吸われ
携帯とパソコンとテレビの
白い光を浴びながら部屋の明かりは
かたくなにつけずに、浮かべる晴れ
雨の水が不規則にぽとぽとぽと
かっかっかっとコマーシャルよりは
年を重ねる音をたのしく変えてくれ
明日に向けて寝なくてはいけないものの
まぶたの裏には金色が広がってしまった
おばあさんになるのを、期待して
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