照れ笑いがピュアな欧風カレー店について

西大橋のBig Beansというスーパーに行こうとしたら、一本曲がるのが早かった。
表の入り口に回ろうと歩く途中で、カレー屋の看板が目に留まる。こんなところにカレー屋があった覚えがない。当時、すでに名の知れたカレー屋は6割くらい足を運び、新しい店のチェックも欠かさないくらいカレーを食べていたのにも関わらず、全く知らない店だった。
新しい店なのかな、と店の前のメニューをしばらく眺めながら迷った。その日は外食するつもりではなかったし、欧風カレーはたいてい胃に溜まるから、食べるぞという気があるときでないと負けてしまうことがある。

でも、季節の牡蠣フライもあるし、試しに入ってみた。喫茶店居抜きのような店内は誰もおらず、店主がキッチンからひょこっと顔を出した。オープンして一週間くらいなんですよ、と教えてくれる。

牡蠣フライカレーが、一口ではっきりわかるくらい美味しかった。

スープカレーほどしゃばしゃばではないが、さらっとしていて粘度が低い。煮込む過程で余計な油分など丁寧に取り除いているんだろうなと一撃で理解させる。
手間をかけられたコンソメスープを食べているみたいだった。後からじわっと辛いのに、スパイスが前面に出てきて主張してくるキツさはない。
牡蠣も、今まで食べた牡蠣フライの中でトップを争うくらい美味しい。「牡蠣フライカレー」ではなく牡蠣フライ界でも戦える。衣はあくまで薄く、ミネラル感は強く主張するのにえぐみがない。めちゃくちゃ美味しいですね、と店主に話した。

--牡蠣は、広島の奥さんの実家から送ってもらってるんですよ。美味しいですよね、でもそんなに言うほどですか！？僕はここ以外のをほとんど食べないんで、よそのが分からなくなってきたのかもしれない…。
--Googleマップにも登録してないのは、僕がITに弱いからで…Instagramも何とか始めたんですが操作がよくわからなくて…。
--まだお客さん全然来ないんですよ。あまりフライヤーも置いてもらってないし。友達も、僕がカレー屋始めたって知らないと思います。言ってませんもん。友達に気を遣わせて「美味しい」って言わせるの悪いなあって。

「来ないひとは来ないと思うし、食べた友達は心から美味しいって言うと思いますよ。お世辞で美味しいって言っているかどうかは、見ていたらわかるんじゃないですか？それに、友達に自信を持って出せないカレーをお客さんに出すんですか？」
「ほんまですね！！！」

あまりに印象深くて、翌日も牡蠣フライカレーを食べに行った。初めて行ったカレー屋で、二日連続して行ったことは後にも先にもない。

現在は、椅子を間引きした状況で営業されている。真空冷凍パウチの販売も始めた。
家で何個かストックしておくのも嬉しいから、と複数個持ち帰っていく常連さんもいると聞いた。
好きなのは牛が溶け込んだビーフカレーだけど、どれも美味しい。

店のInstagram

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カレーのお店 koganeya
〒550-0013 大阪府大阪市西区新町１丁目２９−16 第5 B1-A 中村興産ビル
06-6532-7879

牡蠣の仕入れ先「金田水産」　

オープンから一年くらい経過して、ぴあの「究極のカレー」ムック本の欧風カレー部門でグランプリを獲得された。ぴあ気づくの遅いよ！！！！と思いながら、即おめでとうを言いに店に行った。
いつもはにかみながら目尻をさげている店主の人柄が現れた店は、誰でも入りやすい。店主は小さなお子さんがいるのもあってお子さんが大好きで、入り口は段差があるものの、赤ちゃん連れも歓迎している。
これからも、いろんなひとに助けられながら、すくすく営業を続けて欲しい。

初代ポイントカードが貯まりやすすぎるところからもお人よしさがわかる。（今はもう少しだけ貯まりにくくなっている）