【講座レポ】実践ワークで計算・分析のスキルアップ!決算書を読み解き、自社の状況を把握する会計/財務講座〜ひなたMBA「つくる経営」②〜
事業年度ごとに作成する、会社の「決算書」。税理士さんに任せっきりになっていませんか? 11月9日(木)に開催したひなたMBA「つくる経営」2回目は、会計/財務のプロお2人が連携しての講座。会社の経営者や経理担当者、個人事業主など35名が参加し、「自分の会社の決算書が見れるようになる」というゴールを目指して取り組みました。
■講座概要
■テーマ:自社の状況を把握するための決算書の読み方
■講 師:河野 宝 氏(河野宝税理士事務所 代表)/ 新田 裕章 氏(株式会社インターグロー 代表取締役)
■開催日:2023年11月9日(木)10:00〜17:00
■会場:ホテルニューウエルシティ宮崎(雲海)
■講師紹介
【講義/前半】決算書について深く学ぶ
最初に登壇したのは、税理士の河野 宝さん。決算書とは?という根本から丁寧に説明されました。
「決算書は会社の成績表であり、健康診断書です」。
経営者にとっては、自社の経営状況を分析し、その分析をもとに次の一手を考える判断材料の一つです。また、ステークホルダーにとっては健全な取引を行う上で必要な情報源。また、就活生が企業の経営状況や将来性を判断する材料にもなります。
「会計は英語、ITと並ぶ“ビジネス三種の神器”と言われています」
河野さんのこの言葉で、参加者たちのスイッチが押されたようです。インプットの時間も集中力高くのぞんでいました。
今回、決算書の中でも財務三表と呼ばれる「貸借対照表(B/S)」「損益計算書(P/L)」「キャッシュフロー計算書(C/F)」について、それぞれの構成要素や意味、どういう状況を読み取れるのか、を順を追って学びました。
また、それらにどんな相関性があり、どんなバランスだとどんな状況を意味するのか。いろんな事例を見ながら、一つひとつ紐解いていきます。
途中、参加者から講師へチャットで質問が入りました。
Q:「機材に投資をする際に30万円以下に収めるようにするのはなぜですか?」
河野さん:「10万円以上は固定資産として減価償却で経費にしますが、青色申告の場合、30万円未満まで単年度の経費として申請できます。細かい内訳をつくり、30万円以下に分けて経費申請する『資産分解』が非常に有効ですよ」
Q:「キャッシュフロー計算書は毎月作成する必要はありますか?」
河野さん:「投資を受けたり銀行から借入する時に必要になります。毎月は作らなくてもいいですが、3カ月あるいは半年ごとに作成するとより良いですね」
河野さんからの回答に、うなずく会場。
講座中にチャットで質問し、講師が即座に答える今回ならではの手法で、学びがより深まったのではないでしょうか。
【講義/後半】財務三表の読み解き方・分析方法を学ぶ
後半は、中小企業診断士の資格を持つ新田裕章さんが登壇。
「決算書は情報量が多くて苦手意識を持ちがちですが、全部覚える必要はありません。知りたい情報の読み方を覚えて、自社について自分で読み解けるようになりましょう」
そのために、次の3つを学びました。
後半は、参加者たちが実践に取り組む時間。新田さんならではの噛み砕いた表現で、難しそうな分析や計算にも比較的スムーズに取り組めているようです。
③のグループワークでは、新田さんから配られたA社、B社、C社それぞれの決算書を読み解き、会社の特徴や状況を探りました。
収益性、効率性、安全性について代表的な指標を使い、グループ内で手分けして計算・分析します。決算書とにらめっこしながら計算機をたたき、数字をメモする受講生たちは真剣そのものです。
前半に登壇した河野さんも一緒に、会場を回りながら受講生をサポートしていました。
【発表】講師も驚く、鋭い着目点と分析力
最後に、3社の分析をグループごとに発表しました。
「売上総利益率が高い。薄利多売で会社を回しているようだ」
「棚卸資産に対する売上が良い」
「おそらく大きな会社の子会社ではないか」
「販管費が抑えられているが、負債が多いのが課題」
その分析内容にうなずきながら、新田さんは最後にこうコメントしました。
「私が考えていた分析結果は、ほとんどみなさんが出してくれました。すばらしいですね。このようにして、ぜひ自社の決算書も分析してみてください」
みなさんの鋭い分析力が光る、グループワークとなりました。
10時から17時までの長丁場でしたが、「今更聞けないことが聞けて良かった」「新たな視点を得ることができた」と、満足度の高い学びの場となったようです。
また、講師のお二人は宮崎県よろず支援拠点延岡サテライトのコーディネーター。創業支援、税務、IT活用の相談なら連絡してみてはいかがでしょう。
講師のお二人、ご参加いただいたみなさま、ありがとうございました!
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さて、2023年度のひなたMBA個別スキルプログラムはまだまだ継続中。ぜひチェックしてみてくださいね。
▼「つくる経営」経営者/経営幹部向け
取材・構成・執筆:矢野 由里
撮影:窪田 彩香