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【講座レポ】自社の経営状況を表す「決算書」の読み解き方とは?ー「つくる経営①」財務会計

ひなたMBA個別スキルプログラム「つくる経営」は、会社経営について実践経験のある専門家から学び、自社に活かすための講座です。大好評だった昨年度からさらにパワーアップし、 今年度は7つの講座を予定しています。経営資源を構成する「ヒト・モノ・カネ・情報」を網羅し、体系的に学びを深めるプログラムとなっています。

9月11日、今年度の初回講座となる「財務会計」が開催されました。受講生のみなさんは、自社の成長のために「決算書」を読み解くスキル習得の重要性を感じていたようです。

▼講座の詳細はコチラ
R6 ひなたMBA つくる経営 1講座目<財務会計>

【つくる経営】第1回:財務会計
■日 時:2024年9月11日(水) 10:00〜17:00
■会 場:ホテルニューウエルシティ宮崎(アンジェラス)
■テーマ:自社を客観的に評価する財務会計
■講 師:大矢 博(大矢経営診断事務所代表・中小企業診断士)

講師:銀行員時代から積み上げた経験豊富な専門家

会社の経営成績を数値で示す「財務諸表」。ステークホルダー(利害関係者)に企業の経営状態や財務状況を公表することを目的として、上場企業には金融商品取引法で作成が義務付けられている書類です。

中小企業においても、どう稼ぎ、従業員や社会に対してどのように適正に分配するか、という会社経営において大切なもの。
経営の判断指標が財務諸表=決算書の中にあります。

今回の講師は、地元の地銀・宮崎銀行に長く所属し、数百社の決算書を見てこられた中小企業診断士の大矢博さん。数多くの経営者と対話してきた経験を生かし、財務会計の基礎を教えていただきました。

<講師プロフィール>
大矢 博(大矢経営診断事務所代表/中小企業診断士)
1986年宮崎銀行に入行。銀行時代はベンチャーキャピタルへの出向や審査部にて勤務。支店長職を経たのち、公益財団法人宮崎県産業振興機構に出向、2019年中小企業診断士として独立。2024年3 月まで同機構のマネージャーを務めた。2020年からは宮崎県プロフェッショナル人材戦略拠点のマネージャーも務めている。これまでの経験を活かし、県内中小企業への支援活動を行っている。

座学:財務会計の基礎「財務三表」の概要等を学ぶ

今回参加していた受講生は、食品系や福祉系、人材・求人会社から自営業の農家さんまで、経営者はもちろん多様な職種とポジションの方々23名。ご自身の仕事について、また財務会計を学びたいと考えた背景や課題感をグループ内でシェアする自己紹介からスタートしました。

大矢さんが最初に伝えた本日のゴールはこちら。

「『あなたの会社の経営状況を説明してください』
と質問された時、

『今期は増収増益になりました。
昨年と比べて、主力商品の〇〇の販売数量が伸びたため、売上は〇〇%増加の〇〇円になりました。原材料費は値上がりしましたが、仕入れ先の見直しや経費削減の効果もあったため、営業利益は前期比で〇〇%増加しています。…』

というように、決算書をベースにした伝え方ができるようになりましょう」

その目標に向けた講座は「決算書とは?」からはじまり、財務会計の基礎、貸借対照表・損益計算書・キャッシュフロー計算書の概要など、財務諸表それぞれの基本的な見方を説明しながら、見落としがちなポイントや判断の指標も解説。

大矢さん:「決算期に作成する決算書だけでなく、資金繰り表や月次試算表を定期的に作成することで、タイムリーな経営判断を行うことが可能になります」

月次ベースで数字を出しておくこと、また、スピード感のある経営判断が会社の成長には大切だということなど、財務会計に強くなるメリットも学ぶことができました。

実践:事例をもとに決算書から経営状況を読み解く

基礎概要の解説が終わり、いよいよワークで実践に挑戦です。

配られたプリントを開き、受講者それぞれに事例を読み解きます。
貸借対照表、損益計算書を見ながら、3つの財務指標を計算し、その会社の財政状況や経営成績について、期ごとの比較、同業他社との比較から分析するワークです。

個人で取り組んだ後は、グループごとに意見交換。財務諸表から汲み取れる状況を伝え合いました。

このワークは正解を求めるというよりも、数字の変化をもとに経営状況を想像・イメージすること自体が財務会計のトレーニングになります。さまざまな情報を事例から読み取ることに集中している皆さんの様子から、スキルを身につけようとする意欲が溢れていました。

Q&Aでさらに深まる学び

講座の最後に、参加者から事前に届いていた質問に対する講師からの回答がありました。

Q.業種によって仕事の内容は全く異なるのだから、自社の決算書が理解できればよいのでは?

A.経営の内容が決算書に現れるという点では共通です。資金回収サイクルの短縮や利益率の最大化は共通目標なので、他業界のやり方を自社に取り入れたり、自社の課題を発見したりすることができます。決算書という同じものさしを使い、同業他社や他業種の決算書を読み解くことにも十分価値があります。

決算書は、企業とステークホルダーの“共通言語”。
決算書がわかり説明ができることで、自社の状況をしっかりと相手に伝えることができ、次の展開へと発展する足がかりとなり得ます。

大矢さん:「利益あってこその事業継続。決算書を上手に使って事業に生かすために、ぜひこの学びを継続してください」

財務会計を一つの手段に、自社の安定経営とさらなる成長を追求する会社が今後増えていくのではないでしょうか。
講師の大矢さん、ありがとうございました!


次回の「つくる経営」シリーズは10月9日、中小企業診断士・山元理さんによる「経営分析」です。22日「経営戦略」とセットでお申し込みください。

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宮崎県と連携協定を締結している三菱地所株式会社及びエコッツェリア協会が有する人材ネットワークを活用し、各分野エキスパートである講師を招いた「ひなたMBA」×「丸の内プラチナ大学*」コース(全3回)もチェック!


撮影:窪田彩香
取材・執筆:矢野由里

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