例えば、夢と現を往返する白皙の幼子がいるとして ~第二話 奇妙な関係 ~
「こんばんはお嬢さん」 男はにっこり微笑んだ。
しかし、突然の怪しげな来訪者に少女は不安そうにつぶやいた。
「もしかして私もう死んじゃうの?
あなたは天国の人?それとも地獄の人?」
「どっちだと思う?-これ、どうぞ」
男はやさしく微笑みながら少女に手紙をさしだした。
「開けていいの?」少女は不安そうな顔で男に尋ねた。
男は静かにうなづくと、少女は手紙の封をあけた。手紙は何枚も書かれており、少女はときどき読みづらい字もあったので男が代わりに読み聞かせることにした。
話を聞いているうちに少女は驚いた。そこに書かれていた話は少女が夢の中でみた世界のような話しが散りばめられていたからだった。不安そうな顔からしだいに笑顔になっていく少女だったが、しばらく話を聞いているうちにだんだん眠くなり、少女はベッドに横たわった。
その様子を見た男は少女に布団をそっとかけると病室をあとにした。
翌朝…目覚めた少女は昨日のことは夢だったのかと思っていると、枕のそばに昨日の手紙がおいてあることに気づいた。あらためて手紙をみると、なんだかこどもが書いたような字に見えた。
そのとき
「おはよう、ゆっくり眠れた?」
母親の声に少女はその手紙をあわてて隠した。母親は娘が何を隠したのか少し気になったが、少し元気になった娘をみて何も聞かないことにした。
その日から毎晩、その男は病室を訪れ、少女に手紙を持ってきては少女に読み聞かせ、寝つくと病室からいなくなるという奇妙な関係が続いた。
#レイチェル #例えば夢と現を往返する白皙の幼子がいるとして
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