例えば、心を持つ操り人形があったとして
例えば、心を持つ操り人形があったとして。
それはまだ名前のない束の間の絵空事。
僕は幼に恋をした。
毎日毎日僕の劇を楽しみに通ってくれる。
一度で良いから楽しくお話がしてみたい。
僕の意図に気づいて。
劇でいつも愉快に踊るのは子を拐うため。
踊りたくないと思ったのはそれが初めて。
僕は糸を切れない。
これがないと動けなくなってしまうから。
あの子とお話できなくなるのがただ怖い。
僕の異図が消えない。
ああ最後の劇までもうあまり時間がない。
早くしないとあの子がここへ来て