例えば、夢と現を往返する白皙の幼子がいるとして~ 第一話 突然の来訪者 ~
「じゃあ、今日はもう帰るね」
「まだ帰らないで!お母さん!
あともう少しだけ・・・」
「ごめんね、どうしても今日は帰らないといけない用事があるの…明日また来るから・・・」
母親は少女の手をギュッと握ると力なく笑った。
そんな母親を見て少女はそれ以上引き留める言葉を失った。
「分かった、また明日ね・・・おやすみなさい」
「おやすみ」母親は後ろ髪を引かれるようにドアの向こうに消えていった。
「今日も楽しい夢が見れるといいな・・・」
幼子はそう呟くと窓枠にのぼり月明かりがさす窓を見つめていた。
しばらくすると・・・ 「コンコンコン」
ドアの向こうでノックの音が聞こえた。
「お母さん?!」
少女は病室の入口に目をやるとそう叫んだ。
するとスーっとドアが開いたあと、漆黒のマントに身を包んだ一人の男がヒラリと病室に入ってきた。
「だれ?!」
突然の訪問者に少女は驚いた。
「シーっ!」口に人差し指をあて男は辺りをキョロキョロ見渡したあと、少女の目を見ながらにっこりと微笑んだ。
#レイチェル #例えば夢と現を往返する白皙の幼子がいるとして
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