例えば、淡く身を焦がし合う番いがいたとして
例えば、淡く身を焦がし合う番いがいたとして。
しかし、それは今や過去の思い出ですらない。
男は不慮の事故により記憶を失い、それを女は甲斐甲斐しく世話を焼く。
順調に快復した男が目覚めたその日、女も不慮の事故により記憶を失う。
女が目覚めたその日から、二人はもう赤の他人でしかない。
今まで築き上げた二人の歴史も、お伽噺となんら変わらないのだ。
私は嘆いた。
幸福を奪い去る残酷な運命を。
私は怨んだ。
愛を引き裂いた無慈悲な神を。
さて―
最も不幸なのは、一体誰だろうか。
そしてそれに至った理由はなにか。
貴方の見解を、私に教えてほしい。