ICT教育!…いやその前に

「ICTで学習を変えるのだ」という学校の先生は見ないでください!
今回はかなり思想強めのお話になります。

以前から私が主張していることがあります。
それは、「ICT教育」の前に「ICTで学校のシステム化」が先だ!ということです。

ICTを学校現場で用いることは同じなのですが、目的が全く別にあるのです。

まずは言葉を整理していきますね。

ICT教育とは、情報通信技術(ICT)を活用して、生徒が学習したり、教師が授業内容を充実させたりすることです。
たとえば、タブレットを使った授業、オンライン教材、プログラミング学習などが含まれます。また、ICTを活用することを通して、情報活用能力や情報リテラシーがはぐくまれることが期待されています。ICT教育の目的とは主に「学習の質を向上させること」となります。

一方で、ICTで学校のシステム化とは、学校運営や管理の効率化のためにICTを導入することです。例えば、成績管理システム、出席管理、学校間のデータ共有、オンラインでの連絡システムなど、学校の内部業務をデジタル化します。学校業務をシンプルかつ自動的なものにすることで効率化され、学校現場における教員の働き方改善が期待されます。ICTで学校をシステム化することの目的とは主に「学校運営の効率化や合理化」です。

つまり、ICT教育は「学習」に焦点を当て、ICTで学校のシステム化は「学校業務」に焦点を当てています。

この投稿を書いているのは2024年11月です。
学習用タブレット端末を生徒1人に1台を配布されてから、もうすぐ4年が経とうとしています。

子どもたちの学習の仕方は大きく変わりました。
紙のノートの代わりにタブレットをノートにする生徒。
教科書を画面で見る生徒。
授業後の黒板をタブレットでファイリングしていく生徒。
学校以外の場所でもタブレット端末で問題を解く生徒。
画面上のシンキングツールで自分なりに思考を組み立てる生徒。
学んだことをプレゼンスライドやデジタルポスターにまとめる生徒。
作成した成果物をタブレット端末で送ったり受け取ったりする生徒。

10年前では考えられなかった光景です。
学習方法も、学習を見取る方法も、選択肢が膨大に増えました。
きっと子どもたちが成長する成分になっていると思います。


しかし、タブレット端末が子どもたちの学習を目的に学校に導入された影で、現代の学校教育に関する課題にもしっかり目を向ける必要があると思います。

課題をあげるときりがありませんが、教員の長時間労働教員数の不足は深刻な問題です。

学習指導と生徒指導に加えて、保護者との連携、授業準備、採点業務、事務作業を遅くまで。休みの日も部活動で休みなし。
1か月の残業時間が80時間を超える月も珍しくありません。
心身の健康を崩し、休職されたり、退職する先生も珍しくない世の中になりました。

そんな働き方は連日ニュースでも取り上げられ、教員志望者は減少傾向にあります。教員採用試験の倍率は低下の一途をたどり、合格したとしても辞退する受験者が多くいます。

少子化が進んでいるものの、教員の数は必要とされている数よりも少なく、学校現場は常にギリギリで何とか回している状態です。

ただでさえ忙しい学校現場でやることを増やすのは現実的ではありません。

このような学校現場を、これからも持続可能であると言うことはできるでしょうか?
疲弊した先生たちが、子どもたちと十分に向き合うことは可能でしょうか?

今の学校現場をよくすること、子どもたちの成長に最も効果のあることは、ICT教育でしょうか?

ICT教育が不要だとは思いません。順番が違うのです。

だから今一度考えたいのです。

日本の学校を持続可能なものにするためには何が必要か?

ICTの普及が進んだ現在、時を戻すことは難しいです。

であるならば、もっとICTのよさを生かせる使い方はないだろうか?

ICTが学校現場に普及し、これまでよりも学校を便利にできるようになりました。
ICTのよさは、何といっても遠隔でコミュニケーションが取れることと膨大な情報を操作できることです。

業務効率を上げるためには最強のマシンなのです。

仕事量が多いのなら減らせばいい。
決まって同じことをするのなら自動化すればいい。

これまで蓄積された日本の学校の知恵と努力を整理し、余計な仕事は減らして決まりきっている作業は自動化する。
学校のシステム化を推し進めることが、子どもも大人も幸せな学校にすることにつながると私は考えています。

今一度、学校の「やるべきこと」と「やらなくてもいいこと」を整理してみませんか?

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