【子育て】「自立」とは依存先を増やすこと?
究極的に子育ての目標って、子どもを「自立」させることだと思います。
順当に行けば親である自分の方が先にこの世を去るからこそ、親からの保護がなくても子どもがしっかり生きていけるように、経済的・精神的に自立してほしいと願うのは、ごく自然な流れです。
長らく私がイメージしていた「自立」とは、
・経済的自立:自分が生きていくために必要なお金を自分で稼げること。
・精神的自立:自分の考えに基づいて選択・行動することができ、それらに責任を持てること。
こうして書いてみても、まったく見当違いではないと思うのですが、この「自立」という言葉について、その意味から考え直さなければならない、ハッとさせられる記事と出会いました。
上の記事の中で自身について語っているのは、小児科医の熊谷晋一郎さん。
熊谷さんは、生後すぐに高熱がでたことなどが原因で、脳性麻痺となり、子どもの頃から車椅子での生活を余儀なくされました。
生きていく上で他者の介助が欠かせない熊谷さんは、「親が死んでしまったら、自分も生きていけなくなるのでは」という不安を抱えることもあったと言いますが、自分よりも障害が重い人が、自由に生きているのを目の当たりにして、一人暮らしをしてみたいと思うようになったそうです。
実際に東京の大学に進学し一人暮らしを始めると、複数の友人が家に出入りしてお風呂に入れてくれたり、失禁したときも介助してくれたりしました。
街で見ず知らずの人に声をかけ、トイレ介助を依頼したこともあったそうです。
そんな経験を通して、熊谷さんは次のように語ります。
「自立」とは「依存先を増やしていくこと」。
考えてもみれば、私も様々なものに「依存」して生きてきたし、今でもそうして生きています。
夫、両親、学校・保育園の先生方、職場の同僚、友人など、たくさんの人を頼って、なんとか今の生活を維持しているのです。
私は今まで、子ども達の自立を促すためにと一人で身支度ができる仕組みを整えたり、自発的に宿題や持ち物の準備ができる習慣をつけたり、「一人でできる」ことにフォーカスしてきました。
これはこれで間違っているとは思いませんが、自立の本質が「依存先を増やすこと」なのであれば、困ったときに「手伝って」「助けて」と勇気を出して言える子に育てることも同じくらいに大事だと思いました。
そのために、どうするか?
逆説的にはなりますが、まず親である自分が健全な依存先であることが大前提な気がします。
子どもが今より大きくなり、難しい年頃になった時にも「助けて」と相談できる存在でありたいし、そこを足掛かりに、依存先を増やしていってもらいたいと感じました。
最後まで読んでいただいて、ありがとうございました。