見出し画像

『人生がときめく片づけの魔法』は単なる“片づけ本”ではなかった

今さらながら、こんまりさんの『人生がときめく片づけの魔法』を読んでみました。

今回手に取ったのは2019年に発売された改訂版。
こんまりさんの影響力は世界レベルで、米国タイムズ誌の「最も影響力のある100人」に選ばれたことは、日本でも大きな話題となりました。

ですが、『人生がときめく片づけの魔法』は読んでみたいと興味を持ちつつも、なんとなく先延ばしにしてここまで来てしまいました。
なぜかというと、かなり(10年以上?)前のテレビ番組 (多分金スマだったと思う) に出演していたこんまりさんの印象があまり良くなかったから(笑)

当時の私には彼女が少し高圧的で、語っている内容も非科学的に思えました。
いくら話題の作品とはいえ、作者への印象が良くなければ読むのをためらいますよね。

でも、やはりこれは読んでおきたいとようやく手にとったら、いい意味で予想を裏切る内容でした。
というのも、この作品は単にお片付けのノウハウだけを記した “片づけ本” ではなかったからです。

もちろん数々のコンサルト経験に裏打ちされた独自のノウハウは、体系化されていて分かりやすく実際に役に立つのですが、そ以上に思想的な部分がすごく奥深かったです。

そもそも なぜ散らかるのか?という問題について、こんまりさんは次のように言います。

そもそも、部屋が自然に散らかることはありません。住んでいる自分が部屋を散らかしているのです。「部屋の乱れは心の乱れ」という言葉がありますが、散らかっている状態というのは、物理的なこと以外に本当は問題があるのだけれど、目の前のごちゃごちゃ感でごまかされてしまっている状態だと考えられます。

片付けを通して “目の前のごちゃごちゃ感” から脱すると、

心を「ごちゃごちゃ」「ざわざわ」させている真の問題と嫌でも向き合わざるを得なくなります。

(前略) 目をそらせていた問題に気づかされ、いやがおうでも解決せざるをえなくなる。片づけはじめたそのときから、人生のリセットを迫られるのです。 そしてその結果、人生が大きく動きはじめていきます。

片づけは、自分自身を振り返り整えていくための手段というわけです。

さらにこんまりさんは、本書の中で「捨てる重要性」を繰り返し述べているのですが、単に物を捨てればいいと言っているわけではありません。

一つ一つの物には “役割” があります。
買ったはいいけど一度も袖を通さなった服、その服の役目は
「買った時にときめきを与えてくれたこと」
「似合わない服を自分に教えてくれたこと」
など、活用できていなくても物はしっかりと役目を果たしてくれたと考えます。
であれば、「もったいないから」とタンスの奥深くにしまい込むのではなく、物との出会いに感謝して潔く手放しましょうと言うのです。

「あなたの周りの物は、あなたの役に立ちたいと 思っている」

など、物に意志があるかのような考え方はアニミズム (あらゆるものに霊魂が宿っているという思想) に通じる部分があります。

確かに科学的ではないかもしれないけれど、私たちを取り巻く世界を全て科学で説明できるわけでもないですし、米国でこれだけ支持されている理由も、この思想的な部分にあるのかなと勝手に納得しました。

実際にアメリカの書店では実用書ではなく、スピリチュアルのコーナーに本書が置かれていることもあるそうです。

気になる方はぜひ読んでみてください。
片付け熱が高まること請け合いです。

最後まで読んでただいてありがとうございました。

※より詳しい解説記事はこちら↓


いいなと思ったら応援しよう!